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274. 気候変動、食料供給、食事ガイドライン

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フードシステムは、人口増加に応じて食料の生産量を増やし、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を支援し、栄養と健康のニーズを満たす必要があります。今回はAnnual Review of Public Healthに掲載された、気候変動、健康的な食事、世界中の栄養と健康を改善するために必要な行動に関する文献の12か月間の包括的なレビューを紹介します。


消費者、食品産業、政府、および国際機関が何の行動も起こさなければ、気候変動は世界の食料生産と健康に大きな影響を与えます。温室効果ガス排出の20〜30%は食料生産に由来します。感染症と闘い、子供の死亡率を減らし、肥満と疾患を制御するためには栄養素の適切な摂取が大切です。食事のガイドラインは健康的な食事のためのアドバイスを提供するもので、その主な原則はすでに確立されており、持続可能な開発とも親和性があります。


気候変動と栄養の質のコンビネーションが、今世紀の主要な公衆衛生上の課題です。世界で栄養状態は改善の方向に向かいつつあるとはいえ、気候変動が食料供給に与える脅威に直面し続けており、特にサブサハラアフリカとアジアの一部が最も危険にさらされています。当面は、農業のやり方や分配を工夫することで十分な食料を生産できるかもしれませんが、2050年までには世界の食料生産を50%増加させる必要があると予測しています。


政治的コミットメントと多額の投資などが、SDGsを達成するために求められる健康的な食事の提供に役立つ可能性があります。そして、食料生産には変化が、栄養素含有量には測定が、食事のガイドラインを充たすためにはより公平な分配が必要です。また、母乳育児率の上昇は、温室効果ガスの削減にも貢献し、乳児と大人の健康を改善します。


気候変動が食料供給と健康に及ぼす長期的な影響を評価するためには、継続的な研究が不可欠です。

国際農研は、一般公開用の特設サイトを設け、研究職員によるミニ講演の配信、アフリカの農業と環境をテーマにした空撮動画など、子どもから大人まで楽しめる内容を準備しました。さらに、4月17日(土)14時からは、フードシステムの抱える課題と科学技術役割に関する特別ミニ講演をライブ配信(事前申込み制)予定しています。

 


参考文献


Colin W. Binns et al. Climate Change, Food Supply, and Dietary Guidelines, Annual Review of Public Health (2021). https://www.annualreviews.org/doi/abs/10.1146/annurev-publhealth-012420… Accessed on April 12, 2021


Curtin University, Call for urgent climate change action to secure global food supply (2021, April 8) https://phys.org/news/2021-04-urgent-climate-action-global-food.html Accessed on April 12, 2021

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)
 

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