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269. A Better World – 持続可能な開発のためのパートナーシップ

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気候変動や環境破壊に起因する感染症などに見舞われ混沌とする今日、国際社会が地球規模課題を解決するにはパートナーシップが欠かせません。パートナーシップは、参画者の多様な資源(リソース)を持ち寄ることで、単独ではなしえない成果の達成を可能にします。


イギリスのメディア組織であるThe Human Development Forumは、2015年以来、SDGsを特集したA Better World を毎年公表しています。 2021年3月に公表された 2020年・第七版においてはSDG 17 (パートナーシップ)を特集しており、国際農研の国際共同研究パートナーシップの概要も紹介されました。 

昨年2020年に創立50周年を迎えた国際農研ですが、過去半世紀の地球規模課題の変遷に伴い、国際共同研究のアジェンダも変化してきました。たとえば国際農研前身である熱帯農業研究センター(熱研)が設立された1970年は、開発途上国における飢饉撲滅といった国際社会の関心が熱研の研究課題にも反映されていました。1990年代には環境問題や持続性が国際農林水産業研究の課題となりましたが、国際農研の活動も分野横断的でシステム視点を取り入れた活動が中心になっていきます。21世紀までにグローバル化の流れによって食料・環境問題はより複雑になっていきますが、国際農研は常に時代の先を見据え、国際共同研究を実施してきました。


他方、国際農研は、50年前から一貫して、地球規模の食料安全保障・環境問題の解決にあたり、開発途上国の現場にて共同研究パートナーとともに農林水産業技術開発に取り組むというアプローチをとってきました。開発途上国現場での長年に基づく国際共同研究により、コロナ禍においても、研究実績を生み出し、研究成果を社会的なインパクトにつなげる活動を継続する上で、パートナーシップは重要な役割を果たしてきました。 

2020年11月の時点で、国際農研は29開発途上国における66研究機関との共同研究を実施しました。また開発途上国の若手研究者に対する人材育成や、気候変動問題に対応する国際ネットワークを通じたパートナーシップも国際農研の活動を特徴づけるものです。人材育成では、過去半世紀の間に、83か国から2422人の研究者を招聘してきました。また国際農研は、GRA(農業温室効果ガスに関するグローバルリサーチアライアンス) やBNI(生物的硝化抑制)といった国際研究ネットワークにおいて、世界の研究機関・研究者のパートナーシップをとりまとめる役割を果たしています。
国際農研は、半世紀にわたる国際共同研究の経験に基づいて形成してきた国立・国際研究機関パートナーとの信頼関係を踏まえ、今後もSDGs達成と持続的なフードシステム構築に向けて、科学技術を通じた地球規模課題解決に貢献していきます。

 

(参考文献)

The Human Development Forum. A Better World Volume 7 https://www.humandevelopmentforum.org/digital/A-Better-World-Vol-7/4/in…

 

(文責:情報広報室 金森紀仁、大森圭祐、企画管理室 池浦弘、情報プログラム 飯山みゆき)
 

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