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36. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 東アフリカ共同体による国境間サプライチェーン・モニタリングと地域農業振興支援声明
東アフリカ共同体(East African Community: EAC)は、ケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、南スーダンの東アフリカ諸国により結成された地域共同体です。EACのうち、海岸線を有するのはケニアとタンザニアのみで、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、南スーダンは内陸国であり、食料・燃料・医療品を含む国境間(cross-border)の物流は国家経済の生命線でもあります。
2020年5月12日、EAC6か国中、ルワンダ (Paul Kagame)・ケニア(Uhuru Kenyatta)・ウガンダ(Yoweri Museveni)・南スーダン(Salva Kiir Mayardit)の首脳がビデオ会議を行ったと報道されました(EAC)。4か国首脳は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックとの戦いの間も、国境を越えた物流が途絶えることがないよう、サプライチェーンの担い手であるドライバーの検査状況などの情報共有を含めて協力体制をとることについて共同声明を出しました。
この決定の背景には、ウガンダで1,478人のトラック運転手を対象とした検査で4人の新たな感染者のうち、2名のウガンダ人に加え、残りの2名がケニア人・タンザニア人であったとの報告があります(africanews)。
首脳らは、EACが協調介入を行い、各国の保健・運輸担当省等の調整を通じ、医療品や食料などの物流が滞りなく行われるよう、ドライバーに対するデジタル監視・追跡システムの導入を含め、協力していくことを明言しました。さらに、首脳らは、現在のパンデミック、そしてポストCOVID-19を見据え、農民による農業活動が中断されることなく継続されるよう配慮し、農業加工・付加価値化を支援することを表明しました。COVID-19の負の影響を和らげるため、地域レベルでの輸入代替(輸入に頼っていたような食料を、部分的あるいは全面的に自給できるようにすること)を目指し、農業セクターの振興に努めることを強調しました。
一方、この会議には、EAC加盟国であるタンザニア大統領とブルンジ大統領の参加はありませんでした。タンザニアはパンデミックに対し他国とは一線を画し、経済活動規制等を行わない政策をとっているとのことです。
参考文献
AFRICATIMES. EAC states to monitor truck drivers, borders in response to COVID By AT editor - 12 May 2020. https://africatimes.com/2020/05/12/eac-states-to-monitor-truck-drivers-borders-in-response-to-covid/ Accessed on May 13, 2020.
africanews. Coronavirus - Africa: Free Movement of Goods, Fight against COVID-19 Key Agenda as East African Community (EAC) Leaders Meet https://www.africanews.com/2020/05/12/coronavirus-africa-free-movement-of-goods-fight-against-covid-19-key-agenda-as-east-african-community-eac-leaders-meet/ Accessed on May 13, 2020.
EAST AFRICAN COMMUNITY (EAC) HEADS OF STATE CONSULTATIVE MEETING OF THE EAST AFRICAN COMMUNITY COMMUNIQUÉ. https://www.eac.int/communique/1725-communiqu%C3%A9-heads-of-state-consultative-meeting-of-the-east-african-community
(文責:研究戦略室 飯山みゆき)