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アフリカ緑の革命のための同盟(AGRA)2017「2017年 アフリカ農業現況報告 -サブサハラ・アフリカ小規模農業ビジネス戦略 [Africa Agriculture Status Report 2017 -The Business of Smallholder Agriculture in Sub-Saharan Africa].」概要

2018-02-21

アフリカでは、大多数の農民が平均2ヘクタールに満たない土地で小規模農業を営んでいる。農業は経済発展の基盤であるが、アフリカでは何故これまで農業近代化と生産性向上に成功してこなかったのだろうか。「緑の革命」が成功したアジアでは、コメと小麦の自給達成を目標とした育種と灌漑整備への重点投資により、広大な地域に標準技術を普及させることが可能であった。これに対し、アフリカ農業は、多様な作物・天水依存農業システム・農村インフラ未整備、といった制約に変革を阻まれてきた。アフリカ農業の革命には、多様な作物・農業システム・環境に対応する必要がある。さらに、21世紀のアフリカ農業を取り巻く状況は、アジアが「緑の革命」を達成した時代とは、以下の点で大きく異なっている。

  • 世界の食料貿易はグローバルゼーションが進展し、アフリカ諸国は自給のみにこだわらず、自国の資源・輸出機会に応じた農業作物生産に特化しつつ、自国で生産された作物と貿易との組合せで食料需要を満たすことが可能である
  • アフリカのフードシステムは近年の都市化・所得向上・食生活の変化に応じて急速に進化している。フードシステムを経由し供給される食料の量は、1970年代から現在まで6-8倍に増加し、食料消費者価格を構成するコストの40-70%が加工・卸売・小売分野に起因すると推定されている。中小規模ビジネスを中心とした農業・フードシステム関連部門のGDP貢献度は20%前後に上り、種子・肥料・家畜用薬品や農業機械などの民間ディーラーの活躍も著しく、投資・雇用創出に大きく貢献している。
  • アフリカの多くの地域で2050年まで農村人口は増加し続けると予測されており、人口密度が既に逼迫している地域では、土地資源劣化と農地細分化の圧力が高まり、土地を巡る緊張が高まる。農村の若年層は農業に代わる経済機会を求め、都市に移動するが、雇用機会は十分でない。農業・フードシステムにおいて、生産的で魅力的な雇用機会を創造することが、極めて重要な開発課題として浮上する。
  • 開発アジェンダも時代とともに変遷する。「緑の革命」時代は食糧安全保障が究極の目標であったが、今日の国際社会の課題は持続可能な開発目標(SDGs)の枠組みの下、経済・環境・社会的目標を同時に達成することである。とりわけ農業・フードシステムでは、栄養・健康の改善が新たな重要課題である。

以上を踏まえると、アフリカの農業革命は、食料生産のみに焦点を当てるだけでは不十分で、小規模農民の発展・雇用創出・所得向上を中心に据えた包括的なフードシステムの確立が必要となる。現在、アフリカ全体で、2ヘクタール以下の小規模農民は全農業生産の30%、4-20haの農家は50%を生み出しているとされ、十分な機会と誘導が与えられれば、大規模農家にも匹敵する競争力を持って農業革命に貢献しうる。勿論、全ての小規模農民が同じスタート地点に立てるわけではない。本報告書は、小規模農民をビジネス能力・条件ごとに分類し、適性に応じた支援を行うことで、効率的な農業・フードシステム変革への戦略を提案する。

 

より詳しい内容に関しては、以下のサイトを通じ報告書原文を参照のこと

https://agra.org/wp-content/uploads/2017/09/Final-AASR-2017-Aug-28.pdf

なお、概要に関する本翻訳は、AGRAから公式に承認を受けたものではなく、翻訳上の誤りなどの責任は文責にある。

(文責:研究コーディネーター  飯山みゆき)