アフリカ開発銀行は、“High 5”と銘打ち、5つの投資重要分野 - 食料(Feed Africa)・電力(Light up and power Africa)・産業化(Industrialise Africa)・統合(Integrate Africa)・生活改善 (Improve the quality of life for the people of Africa)- を指定している。本報告書は、これら5つの重要分野に関連する社会経済トレンドを概観し、アフリカ開発銀行の投資方針と投資効果について評価を行っている。

報告書は、とくに農業分野変革の必要性を強調している。近年アフリカ農業分野の生産性は改善傾向を示しているものの、投資リターンは他途上国地域に比べて低く、農民が貧困から脱却する上での足枷になっている。未だに2.11億人が栄養不良、5歳以下の子供の4人に1人が発育障害に陥っているだけでなく、紛争とガバナンス失敗に気候変動の影響が加わって飢饉に見舞われている地域もある(訳者注：2016末－2017年時点において、南スーダン、ソマリア)。また、貿易面でみると、都市化・人口増による食料需要の急増に伴う輸入が膨らむ一方、農業輸出は未だ原料・半加工品が中心で付加価値は低いままである。報告書は、農業を、人々にとっての生活の糧以上に、ダイナミックで持続的なビジネスとして転換させるために、効率性・生産性・競争力を改善するための投資の必要性を強調した。アフリカ開発銀行は、農業部門の近代化促進を目指し、政策・規制改革・ガバナンス整備や、High 5の重点分野である電力・産業化・地域経済統合と連携した農業分野インフラ投資方針についての戦略を提示している。

より詳しい内容に関しては、報告書原文を参照のこと （https://www.afdb.org/fileadmin/uploads/afdb/Documents/Development_Effec…）。

African Development Bank (AfDB). 2017. Annual Development Effectiveness Review 2017 - Transforming Africa — Unlocking agriculture’s potential (ADER). Abidjan, Côte d’Ivoire

なお、概要に関する本翻訳は、アフリカ開発銀行から公式に承認を受けたものではなく、翻訳上の誤りなどの責任は文責にある。

（文責：研究コーディネーター　　飯山みゆき）