国境を越えて発生する病害虫に対する防除技術の開発(病害虫防除)

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農産物安定生産

2021-03-30

国境を越えて発生する病害虫に対する防除技術の開発(病害虫防除)

 農作物の生産を阻害する病害虫の中には国境を越えて移動して被害をもたらすものがあります。広域に発生する病害虫は一つの国の防除対応だけでは不十分で、周辺国とも連携して防除に取り組む必要があります。

 東南アジアで多発し我が国にも飛来して被害をもたらすイネウンカ類(図1)に対して、発生状況、殺虫剤抵抗性、イネの加害抵抗性と有効な天敵類等の防除技術の開発につながる基礎的知見を得ます。アフリカで大群を作って広域に移動して農作物に被害を及ぼすサバクトビバッタでは、効率的な防除法の開発のために野外観察を基に孤独相から群生相への変異を引き起こす要因を解明します。東南アジアのサトウキビ生産の最重要病害でヨコバイ類により伝染する白葉病では、媒介虫の生態に基づいた健全種茎生産のための総合防除法を開発します。

 イネいもち病やダイズさび病のように広域に伝播する空気伝染性病害を防除するには殺菌剤の使用が有効ですが、好適な散布時期を逃したり、防除コストと耐性菌の出現リスクが増加したりするおそれがあります。これまで構築してきた国際研究ネットワークを利用して、安定した抵抗性が期待できる圃場抵抗性遺伝子の導入や有効な抵抗性遺伝子の集積などの手法により、アジア向けイネいもち病抵抗性系統や南米向けダイズさび病高度抵抗性品種(図2)を育成します。

図1 イネに群がるトビイロウンカ

図2 育成中のさび病抵抗性大豆系統(左)と感受性栽培品種(右)

図2 育成中のさび病抵抗性大豆系統(左)と感受性栽培品種(右)

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