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1524. WMO報告:アジアで加速する温暖化と気候リスク
1524. WMO報告:アジアで加速する温暖化と気候リスク
世界気象機関(WMO)は2026年6月、報告書「State of the Climate in Asia 2025」を公表しました。本報告書は、アジア地域における気温、降水、海洋、氷河、海面水位、極端気象などの観測結果を統合的に分析し、気候変動の現状と影響を整理したものです。
WMOの報告書によれば、2025年のアジアの平均気温は1991~2020年平均を0.96℃上回り、観測史上2~4番目に高い年となりました。また、1991~2025年の昇温傾向は1961~1990年の約2倍に達しており、WMOは、アジアにおける温暖化が世界平均を上回る速度で進行していると指摘しています。
降水については、WMOによれば、南アジアの多くの地域で平年を上回る降水が観測され、モンスーンに伴う洪水被害が発生しました。一方で、西アジアや中央アジアでは降水量が平年を下回り、特にイランでは長期的な干ばつによる深刻な水不足が続いていると報告されています。
高山アジア地域について、WMOは、観測対象となった23の氷河すべてで質量減少が確認されたと報告しています。その主な要因として、冬季の積雪不足と高温条件が挙げられています。また、氷河湖決壊洪水(GLOF)や氷河崩壊も複数報告されており。WMOは、氷河融解が将来的な水資源の利用可能性や災害リスクに影響を及ぼす可能性を指摘しています。
海洋については、WMOによれば、海洋熱含量(Ocean Heat Content)が観測史上最高を記録しました。また、2025年にはアジア周辺海域のほぼ全域で海洋熱波が発生し、7月から9月にかけては1,000万km²を超える海域が影響を受けました。さらに、海面水位の上昇も継続しており、インド沿岸では年間約4.9mm、黒潮流域では年間6mmを超える上昇速度が報告されています。
極端気象についても多くの被害が報告されています。WMOによれば、日本、中国、韓国では記録的な高温が観測され、ベトナムでは洪水により200人以上が犠牲になりました。さらに、スリランカでは熱帯低気圧Ditwahに伴う豪雨により640人以上が犠牲になるなど、気候関連災害の影響が各地で顕在化しています。
以上のように、本報告書は、気温上昇にとどまらず、海洋、氷河、水循環、極端現象など複数の気候指標において変化が同時に進行していることを示しています。WMOは、アジアが人口集中地域であり、農業生産や水資源への依存度も高いことから、気候変動への適応策や早期警戒システムの強化が重要であると指摘しています。
参考文献
WMO (2026) State of the Climate in Asia 2025 WMO-No. 1397 https://doi.org/10.59327/WMO/S/CRI/SOC/3/ASIA
(文責:戦略統括室 飯山みゆき)