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1518. 気候変動主要指標の年次更新:温暖化の進行と海洋熱波の増加が示す気候システムの変化

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1518. 気候変動主要指標の年次更新:温暖化の進行と海洋熱波の増加が示す気候システムの変化

 

国際的な研究チーム(Forster et al., 2026)は、気候システムの状態と人為的影響を評価する年次報告「Indicators of Global Climate Change 2025」を公表しました。本報告は、IPCC第6次評価報告書(AR6)の手法に基づき、温室効果ガス排出、放射強制力、地球のエネルギー収支、気温変化、極端現象などの主要指標を体系的に更新したものです。

報告によれば、地球全体の温暖化の進行を示す「地球のエネルギー不均衡(Earth Energy Imbalance)」は、近年顕著に増加しています。この指標は、地球が宇宙へ放出するエネルギーと吸収するエネルギーの差を示すものであり、最新の推定では1976〜1995年と比較して2倍以上に拡大しています。報告は、この増加が気候システムに蓄積される熱量の増大を意味すると指摘しています。

また、新たに導入された指標である「海洋熱波日数」についても大きな変化が示されています。報告によれば、海洋表面における異常高温の発生日数は、1990年代初頭と比較して近年では3倍以上に増加しています。海洋熱波は海洋生態系への影響に加え、大気循環や極端気象とも関連することが指摘されており、気候変動の影響を把握する上で重要な指標の一つと位置付けられています。

気温については、2016〜2025年の平均で、産業革命前と比較して約1.26℃の上昇が観測され、そのうち約1.24℃が人為的要因によるものと評価されています。また、2025年単年では約1.37℃の上昇と推定されており、パリ協定の1.5℃目標に近い水準となっています。さらに、直近10年間の人為的温暖化の増加率は10年あたり0.27℃とされ、報告では高い上昇速度が継続していることが示されています。

温室効果ガス排出については、2024年の世界排出量が56.8GtCO₂e換算と推定され、過去最高に達しています。内訳としては、化石燃料由来のCO₂が大部分を占める一方で、メタンや一酸化二窒素も増加傾向にあると報告されています。他方で、排出量の増加率には鈍化の兆しも見られるとされており、その背景としてエネルギー転換や政策の影響の可能性を指摘しています。

これらの排出の累積により、大気中の温室効果ガス濃度は上昇を続けており、人為起源の放射強制力は2025年に3.10W/m²に達したと報告されています。また、温室効果ガスによる加熱効果の増大とエアロゾルによる冷却効果の弱まりが、地球のエネルギー不均衡の拡大の要因となっていると指摘しています。その結果として、海洋による熱吸収が進み、深海まで温暖化が及んでいることが示されています。

さらに、海面上昇の加速も確認されています。報告によれば、1901年から2025年までに全球平均海面水位は約23cm上昇しており、近年の上昇速度は年間約3.8mmとされています。また、陸域における極端高温や降水変動も増大も報告されており、複数の指標において気候の極端化が進行していることが示されています。

一方で、1.5℃目標に対する残余カーボンバジェットは急速に減少しています。報告では、2026年時点で約130GtCO₂(50%確率)が残されていると推定されており、現在の排出水準が続いた場合、数年以内に消費される可能性があるとされています。

加えて、本報告は観測体制の重要性についても言及しています。衛星観測、海洋観測、気球観測などの縮小や、国際的な観測プログラムに対する資金制約が、気候システムの継続的な監視能力に影響を及ぼす可能性があると指摘しています。

以上のように、本報告は、温度上昇にとどまらず、エネルギー収支、海洋、極端現象といった複数の側面において気候変動が同時に進行していることを示しています。これらの結果は、気候システムの変化が広範かつ複合的に進んでいることを示唆するものです。なお、海洋熱波の増加やエネルギー不均衡の拡大が示す意味合いについては、今後の研究の蓄積とあわせて慎重に解釈する必要があります。

 

(参考文献)
Piers M. Forster et al, Indicators of Global Climate Change 2025: annual update of key indicators of the state of the climate system and human influence, Earth System Science Data (2026). https://essd.copernicus.org/articles/18/3889/2026/

(文責:戦略統括室 飯山みゆき)
 

 

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