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1464. 地球の気候はますます不均衡に陥っている
1464. 地球の気候はますます不均衡に陥っている
世界気象機関(WMO)の報告書によると、2015年から2025年までの11年間は観測史上最も暑い年でした。2025年は1850年から1900年の平均気温を約1.43℃上回り、観測史上2番目または3番目に暑い年となったことが確認されました。世界各地で発生した猛暑、豪雨、熱帯低気圧などの異常気象は、甚大な被害をもたらし、経済と社会の脆弱性を浮き彫りにしました。
個々の観測地点のデータによると、主要な3つの温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素)の濃度は2025年も上昇を続けました。2024年(世界的な観測データが統合されている最後の年)には、大気中の二酸化炭素濃度が過去200万年間で最高値に達し、メタンと亜酸化窒素濃度は少なくとも過去80万年間で最高値に達しました。2024年の年間二酸化炭素濃度の増加は、1957年に近代的な観測が始まって以来、最大の年間増加率でした。これは、化石燃料由来のCO2排出の継続と、陸域および海洋における炭素吸収源の有効性の低下が原因です。
この報告書では、初めて地球のエネルギー収支が主要な気候指標の一つとして取り上げられました。地球のエネルギー収支とは、地球システムに出入りするエネルギーの量を測る指標です。安定した気候では、太陽から入ってくるエネルギーと地球から出ていくエネルギーはほぼ等しくなります。しかし、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素といった温室効果ガスの濃度が、少なくとも80万年ぶりの高水準に達したことで、この均衡が崩れています。地球のエネルギー収支は、1960年の観測開始以来、特に過去20年間で増加傾向にあり、2025年には過去最高を記録しました。
地球表面付近(人間が感じる温度)を含む大気の温暖化は、余剰エネルギーのわずか1%に過ぎず、約5%は大陸に蓄積されています。余剰熱の91%以上は海洋に蓄えられ、陸上の気温上昇に対する主要な緩衝材として機能しています。さらに余剰エネルギーの3%は氷を温め、融解させています。南極とグリーンランドの氷床はともに大幅に質量を失い、2025年の北極海の年間平均海氷面積は衛星観測史上において最低、もしくは2番目に低い値となりました。2025年にはアイスランドと北米太平洋沿岸で氷河の異常な質量減少が見られました。
温暖化する海洋と融解する氷は、地球全体の平均海面水位の長期的な上昇を促しており、この上昇は1993年に衛星観測が始まって以来加速しています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の予測によると、海洋温暖化と海面水位の上昇は今後数世紀にわたって続くと見込まれています。海洋温暖化と深層海洋のpH変化は、100年から1000年という時間スケールでは不可逆的です。
報告書は、気象観測が、単に天気を予測するだけでなく、将来世代・将来の地球を守るための意思決定に役立つ情報としての意義があることを強調しました。
(参考文献)
WMO (2026) State of the Global Climate 2025, WMO-No. 1391. https://library.wmo.int/records/item/69807-state-of-the-global-climate-…
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)