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1451. 沿岸水位はほとんどの災害評価で想定されているよりもはるかに高い
1451. 沿岸水位はほとんどの災害評価で想定されているよりもはるかに高い
世界の海岸地域における海面上昇やその他の災害の影響は、沿岸水位と陸地標高によって決まります。この基準値の推計に問題があると、気候変動による海面上昇の被害を過小評価する可能性があります。
Nature誌で公表された論文は、これまでの研究やハザード評価が沿岸水位の基準値を過小評価してきたことを明らかにし、気候変動による海面上昇が当初考えていたよりも数千万人も多くの人々を脅かす可能性があると発表しました。
研究者らは数百件の科学的研究とハザード評価を調査し、その約90%が沿岸水位の基準値を平均30センチメートル過小評価していたと算出しました。この傾向は、ヨーロッパや大西沿岸に比べ、とりわけ南半球、太平洋、東南アジアで顕著でした。主に南半球において、測定された平均海面は1m以上高い場合があり、インド太平洋地域ではその差が最も大きくなりました
論文は、沿岸推移の基準値の過小評価について、海面と陸面の高度の測定方法の不一致に原因があると指摘しました。海と陸が接する場所では、衛星や陸上モデルを用いる際に考慮されない要因が数多く存在します。海面上昇の影響を計算する研究は通常、実際に測定された海面を考慮していないため0メートルという数値を出発点として用いています。多くの研究は、波や海流がない海面を想定していますが、現実には、水辺の海は風、潮汐、海流、気温の変化、そしてエルニーニョ現象などによって常に波立っています。
論文は、より正確な海岸高の基準値に調整すると、海面が約1メートル強上昇した場合(一部の研究によると、今世紀末までにこの値に達すると予測されている)、31%~最大37%多くの陸地が浸水し、7,700万人から1億3,200万人が新たに危険にさらされる可能性があると述べています。
論文の結論は、温暖化の影響に対する計画策定と費用負担において問題が生じる可能性を示唆しています。今回の研究で最も大きな乖離が見られた東南アジアや太平洋の島嶼国は、すでに海面上昇の脅威にさらされている人々が多い状況にあります。本研究の結果は、既存の沿岸影響評価の再評価と研究コミュニティの基準改善の必要性を浮き彫りにしており、政策立案者、気候変動対策資金、沿岸適応策への影響も示唆しています。
(参考文献)
Seeger, K., Minderhoud, P.S.J. Sea level much higher than assumed in most coastal hazard assessments. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10196-1
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)