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1414. 小規模な湿潤林の伐採が熱帯林のバイオマス損失を引き起こす

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1414. 小規模な湿潤林の伐採が熱帯林のバイオマス損失を引き起こす

 

熱帯林は地球全体の炭素(C)循環に不可欠であり、世界の森林地上炭素(aboveground carbon: AGC)の約半分を貯蔵しています。ランドサットの観測によると、過去30年間で熱帯湿潤林と乾燥林の46%が少なくとも1回は森林破壊や火災による劣化など何らかの撹乱を受け、バイオマスと生物多様性が減少し、生態系機能の低下を経験していると推計されています。時間の経過とともに、これらの撹乱を受けた森林はC貯蔵量と生態学的機能を徐々に回復しますが、その回復プロセスについてはまだ十分にわかっていません。

Nature誌で公表された論文は、ヘクタール単位空間規模の地球観測データと空間的に明示的なバイオマス回復曲線を統合することにより、1990年から2020年にかけて撹乱を受けた熱帯林における森林炭素の損失と増加を推定することで、攪乱を受けた熱帯林のAGC動態を定量化しました。

分析の結果、撹乱された熱帯乾燥林はカーボンニュートラルのままであったのに対し、撹乱された熱帯湿潤林は、小規模ながらも持続的な森林伐採が主な原因で、正味のAGC損失を経験したことを示しました。小規模(2ヘクタール未満)の森林伐採は、撹乱を受けた面積のわずか5%に影響を与えたに過ぎないにもかかわらず、森林再生を伴わない土地利用転換が継続的に行われたため、炭素損失の約56%を占めました。対照的に、大規模な火災による炭素損失は、火災後の長期的な回復によって相殺されました。これらの知見は、小規模な伐採が熱帯地域の炭素損失に不均衡な影響を与えていることを浮き彫りにしており、火災および非火災による森林劣化による総炭素損失(-17.8 PgC)が森林伐採による損失(-14.9 PgC)よりもさらに大きいことを強調しています。

また、論文によると、南米では大規模な商品生産と小規模農業の両方が炭素損失を引き起こしたと推測されたのに対し、1990年から2020年までのアフリカでの純炭素損失の97%は小規模農業(2ヘクタール未満の撹乱)に起因しています。村落開発と道路建設による追加的な圧力が、アフリカでの損失をさらに悪化させました。

分析の結果は、土地利用の変化を抑制し、炭素ホットスポットである熱帯林への人為的な撹乱を回避することに加えて、若い森林と回復中の森林を保護する必要があることを示唆しています。持続可能な農業慣行、安定した土地保有、アグロフォレストリーの支援は、既存の農地の生産性を高め、森林地への圧力を軽減し、さらなる炭素損失を回避するために不可欠です。


(参考文献)
Xu, Y., Ciais, P., Santoro, M. et al. Small persistent humid forest clearings drive tropical forest biomass losses. Nature 649, 375–380 (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09870-7


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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