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1365. 森林破壊のペースは鈍化傾向に
1365. 森林破壊のペースは鈍化傾向に
森林破壊とは、森林の消失、または都市利用や荒地など他の用途への転用を指します。5年ごとに発行される国連食糧農業機関(FAO)による最新の森林評価報告書が明らかにしたところ、1990年以降、約5億ヘクタール(ha)(サッカー場約7億5000万面分に相当)の森林が失われました。一方、過去10年間、世界では毎年約1090万ヘクタールの森林が失われていますが、この割合は、前期の年間1360万ヘクタール、さらにその前の1760万ヘクタールと比べると改善し、過去10年間、世界のすべての地域で森林破壊のペースは鈍化しています。しかし、森林の拡大も鈍化しており、2000年から2015年までの年間988万ヘクタールから、2025年までの10年間では年間678万ヘクタールに減少しています。
報告書は、リモートセンシング(画像と衛星を用いた高度な手法)から収集されたデータと各国の報告書を用いて、世界および地域の森林の動向を包括的に分析しました。
報告書の評価によると、世界の森林の5分の1は法的に定められた保護区にあり、1990年以降、2億5100万ヘクタールの森林が新たに保護されました。アジアは全地域の中で最も高い割合を占め、森林被覆率は26%です。保護命令以外にも、森林の半分以上が管理されています。土地は木材、繊維、バイオエネルギーの生産、土壌と水の保護、生物多様性の保全、あるいは観光など、様々な用途に利用されています。ヨーロッパでは、森林の94%という驚異的な割合が管理されています。2020年現在、世界の森林の71%は公有地です。北米と中米では、先住民族と地域社会が4,160万ヘクタールの森林を所有しています。
一方、FAOは、森林に対する山火事と害虫のリスク増加を気候変動と関連付けています。火災は依然として蔓延する脅威であり、年間平均2億6,100万ヘクタールの土地に影響を与えており、その約半分が森林です。2020年には、害虫、病気、そして深刻な気象現象によって、さらに4,100万ヘクタールの森林が被害を受けました。
森林の監視と保護に向けた取り組みの一環として、来月ブラジルで開催される国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)では、特別な森林パビリオンが設置され、生物多様性の保全と持続可能な開発の促進について啓発が行われる予定です。
(参考文献)
FAO. 2025. Global Forest Resources Assessment 2025. Rome. https://doi.org/10.4060/cd6709en
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)