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1271. 食品安全:科学の実践

1271. 食品安全:科学の実践
明日、6月7日は世界食品安全の日(World Food Safety Day)です。
安全な食品を十分に摂取することは、生命を維持し、健康を促進する鍵となります。食品安全は、生産から収穫、加工、保管、流通、そして調理、そして消費に至るまで、フードチェーンのあらゆる段階において食品の安全性を確保する上で重要な役割を果たします。
食中毒は通常、汚染された食品や水を介して細菌、ウイルス、寄生虫、または化学物質が体内に侵入することで引き起こされます。年間推定6億件の食中毒が発生していると推定され、特に女性や子ども、紛争の影響を受けた人々、移民といった脆弱で社会的に疎外された人々に影響を与えています。
世界食品安全デーは、食品媒介性リスクの予防、検知、管理への関心を高め、行動を促すことを目的としています。今年のテーマは「食品安全:科学の実践(Food safety: science in action)」です。
国際農研では、ラオスで万能調味料・保存食として利用される淡水魚発酵調味料(ラオス名:パデーク)に着目し、伝統的な製法に従い塩分を18%程度に調整することで、ヒスタミン生成による食中毒のリスクを低減できることを明らかにしました。タイで縁起の良い食べ物として親しまれる発酵米麺(タイ名:カノムチーン)の研究では、麺をpH4程度の酸性に保つことで液状化を抑制する簡易技術を開発し、食品ロスの削減や、収益性の向上に寄与することを明らかにしました。東南アジアの国々では伝統的な発酵食品に共通点もあり、同様の魚醤や発酵米麺が利用されているベトナムでも本成果を紹介しています。
(参考情報)
パデークの成果情報:https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2020_c04
カノムチーン液状化抑制の成果情報:https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2019_c01
タイ普及ワークショップ:https://www.jircas.go.jp/ja/reports/2023/r20230920
ベトナムでのセミナー:https://www.jircas.go.jp/ja/reports/2024/r20241105
(文責:生物資源・利用領域 丸井淳一朗)