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1266. 国際イモの日

1266. 国際イモの日
5月30日は国際イモの日(the International Day of Potato)です。ジャガイモ(Solanum tuberosum (L.))は、数十億人が日常的に消費する作物です。ジャガイモは、アンデス山脈で多様な伝統品種を手作業で生産する小規模農家から、複数の大陸に広がる大規模な商業用機械化農場まで、世界中の多様な農業システムにおいて重要な作物です。ジャガイモは、世界中の農村部と都市部の人々の食料安全保障と栄養、そして生計と雇用に貢献しています。
今年のテーマは「歴史を形作り、未来を養う(Shaping history, feeding the future)」で、ジャガイモの深い歴史的・文化的意義と、今日の世界の農業食料システムにおけるその進化する役割を称えるものです。
アンデス山脈での栽培化からコロンブス交換による世界的な普及、そしてアイルランドのジャガイモ飢饉といった重要な歴史的出来事への関与まで、ジャガイモは数千年にわたり、大陸を越えて文明と食生活を形作ってきました。
- アンデス山脈を起源とするジャガイモは、インカ文明を支え、「古代文明の花」として崇められています。
- 16世紀にヨーロッパにもたらされたジャガイモは、都市化の進展を支え、産業革命の原動力となりました。
- 清朝時代には、ジャガイモは中国の飢饉を軽減し、重要な作物としての地位を確立しました。
- 第二次世界大戦とその後の紛争において、ジャガイモの高い収量と回復力は、食料不足時の食料安全保障を支えました。
- 1840年代のアイルランドの大飢饉は、遺伝子基盤と栽培システムの多様性の欠如がいかに悲惨な結果をもたらすかを示す、明確な例です。
今日、ジャガイモは食料安全保障の要の一つであり、持続可能な農業を支えています。5,000種類以上のジャガイモ品種は、害虫、病気、気候変動の影響に対抗するための遺伝的多様性を提供し、持続可能な農業の実践に貢献しています。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)