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974. 2024年2月 世界食料価格動向 

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974. 2024年2月 世界食料価格動向 

 

国連食糧農業機関(FAO)は、3月8日、世界食料価格動向を公表しました。2024年2月の値は平均117.3ポイントで、砂糖・肉類・乳製品価格上昇を打ち消す穀物・植物油価格の下落を反映し、前月から0.9ポイント(0.7%)下げました。価格指標は前年比で13.8ポイント(10.5%)低い値をとりました。

穀物価格指標は2月に113.8ポイントと、前月比で5.0%下落、前年比で22.4%低い水準でした。世界メイズ価格はアルゼンチンとブラジルでの生産好況見込みと、順調な海上輸送の好機*を伺うウクライナからの競争的な価格のオファーを受けて下落しました。ロシアからの積極的な輸出攻勢がEU産小麦価格の下方圧力となった結果、世界小麦価格も下落しました。インドネシアからの購入を除き、幾つかの国で収穫が始まる中、輸入需要の伸びは緩やかで、コメ価格上昇は1.6%でした。

植物油価格指標は前月比で1.3%下落、前年比で11.0%低い水準にとどまっています。ダイズ油・ヒマワリ油・ナタネ油価格の下落が、若干上昇したパーム油価格を上回りました。とくに大豆価格の下落幅は大きく、南米からの大量供給と好ましい天候条件を反映しました。対照的に、パーム油は、東南アジアの主要生産国における季節的な供給落ち込みを受けて上昇しました。

2月の砂糖価格は、前月比で3.2%増と、2カ月連続の上昇となり、前年比で12.5%高い値をとりました。ブラジルでの少雨が長引いていること、タイとインドという2大輸出国における生産減の見込みが価格上昇に貢献しました。一方、2月終盤にブラジルの主要生産地での降雨量増、また対米ドルでのブラジル通貨安が世界砂糖価格の高騰を抑制しました。

 

*アメリカ合衆国の外交政策と国際情勢を専門とするシンクタンクである外交問題評議会によると、平時においてウクライナからの船舶は黒海を真っすぐ横切り、トルコのボスポラス海峡に向かっていましたが、戦時下では商業船舶はブルガリアやルーマニア国境に沿った黒海西岸をつたって航行するようになっため、NATO領域の浅瀬ではロシアの潜水艦も民間船舶に攻撃がしにくくなっているようです。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

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