Pick Up

717. アメリカにおける農業気候変動対策実施体制

関連プログラム
情報

 

717. アメリカにおける農業気候変動対策実施体制

1週間前の2月7日、アメリカではバイデン大統領が一般教書演説を行いました。大統領は、演説の中で、近年、アメリカを襲う洪水・干ばつ・ハリケーン・山火事といった異常気象による大惨事ついて言及し、気候変動を「地球壊滅の脅威existential threat」と評し、未来の世代ために富裕層や企業を含めた現在の世代が責任を分担して投資を行う必要性を強調しました。


バイデン大統領も引き合いに題した昨年8月に発表されたインフレ抑制法は、アメリカ史上初の大型気候変動対策とされ、クリーンエネルギーやエネルギー効率の高いインフラ投資・電気自動車への移行への金融財政支援に加え、農業分野では土地保全への支援策が盛り込まれています。とりわけ、森林保護と気候に優しい農業慣行推進のために不耕起・カバークロップ(被覆作物)による土壌保全慣行を推進することにより土壌の健康を維持することが目指されています。


今日は、インフレ抑制法における農業保全プログラム実施体制について少し調べてみました。インフレ抑制法は、アメリカ農務省(USDA)等の既存の保全プログラムに195億ドルを配分し、農家が保全慣行を採択していく上での支援を提供する仕組みになっているそうです。 

農業保全のための資金195億ドルの内訳は以下のようになっています。

この2月13日、2023財政年度におけるこれらの資金への申請が開始されたと報じられています。これらの資金は、農家や牧場経営者が温室効果ガス排出や土壌や植樹を通じた炭素貯留を可能にする保全慣行の拡大を支援すると期待されています。


各国の事情によって、具体的な取り組みの在り方は異なりますが、持続的な農業慣行へのパラダイム・シフトは世界で避けられないトレンドになりつつあり、各国・各地域の教訓から学びあっていくことは重要になっていくと考えられます。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)


 

関連するページ