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715. 2月10日は「世界マメの日」 ~近年のササゲ研究~

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2月10日は「世界マメの日」 ~近年のササゲ研究~

国連は、2016年の「国際マメ年」を記念して、2月10日を「世界マメの日」とすることを2018年12月開催の国連総会で定めました。
昨年の世界マメの日では、FAOが公開した「Crops and climate change impact briefs(作物と気候変動への影響に関する概要)」の中からササゲについて紹介しました。(Pick Up 476. 2月10日は「世界マメの日」
今年の世界マメの日のPick Upでは、テキストマイニングという方法を用いて、近年行われたササゲ研究を探ってみたいと思います。

 

1.    テキストマイニングとは

テキスト(text=文章)をマイニング(mining=採掘)することで、膨大な文章の中から有益な情報を掘り当てるといった意味が込められており、最近では、テキストマイニングはSNSや口コミ、アンケートへの回答などを分析する手法として多く用いられています。
今回、ササゲの研究を分析するにあたり、テキストマイニングの手法として、立命館大学の樋口耕一教授が開発したフリーのソフトウェアKH Coderを使用しました。

KH Coder
https://khcoder.net/

 

2.    近年のササゲ研究

2020年から2022年にかけて公表されたササゲの学術論文を米国国立生物科学情報センターが作成したデータベースPubMed(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/)を用いて検索しました。検索してヒットした合計283本の論文のタイトルを用いてKH Coderにて分析を行ったところ、以下のような相関関係を示す共起ネットワークを得ました(図)。
共起ネットワークとは、文章内において出現頻度の高い語のうち,出現パターンが類似している(共起の程度が強い)単語を結んだネットワーク図です。出現回数の多い語ほど大きい円で、強い共起関係ほど太い線で示されています。

図.ササゲ論文の共起ネットワーク

 

KH Coderを用いた共起ネットワーク分析により、出現パターンが類似している単語をいくつかのグループに分けることができました。ササゲは干ばつ耐性があり、遺伝的な多様性が大きいことが知られており、これらの関連する単語は上図の中でも大きなグループ(青緑色)を形成していることから、幅広く研究されています。また、赤い円で示されているグループのseed(種子)は、Callosobruchus maculatus(害虫であるマメゾウムシの一種)と関連があり、さらにinhibitor(阻害因子)などとつながっていることから、貯蔵した種子の害虫防除に関する研究が多く行われていることが推測できます。

こういった情報も利用することで、関連論文を深読みし問題点や解決策などを探っていきたいと思います。

 

 

(参考)
国際農研では、ササゲ遺伝資源の様々な形質、とくに豆の品質に関連する形質についての情報を掲載した「EDITS-Cowpeaデータベース」を公開しています。

EDITS-Cowpea データベース

 

(文責:情報広報室 金森紀仁)
 

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