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192. 「ゴジラ」砂嵐の原因

 

西アフリカを初訪問したときの個人的なカルチャーショックに、乾燥した貿易風―ハルマッタン―のため、内陸に向かう飛行機から見下ろす際に明らかに雲とは異なる砂塵が沈殿して地上の景観が全く見えなかった経験があります。

2020年6月には、サハラの砂塵が、カリブ海に流れ、「ゴジラ・ダスト・ストーム」と呼ばれるほどの歴史的な規模に達しました。

Geophysical Research Letters誌に公表された論文では、北西アフリカで発生した亜熱帯高気圧システムがサハラ地域で4日間にわたり砂塵を排出させ、その砂塵が5-6キロ上空へと押し上げられ、強い西向きの大気風によって大西洋を越えてアメリカ大陸に吹き込みました。北極の温暖化と海氷減少に伴うジェット気流が遠因であるとする研究者もいるとのことで、北極で起きている気候変動の影響が、それよりもずっと南のサハラ砂漠に影響を及ぼし、その砂塵が大西洋を越えてカリブ海に影響を及ぼしているというのです。

世界的な砂塵の移動は、気候、飛行機の航路、砂塵の排出源から何千キロも離れた大陸における土壌の肥沃度にも影響を及ぼします。砂塵は海洋エコシステムに対しても、鉄分やその他のミネラルなどの栄養分を供給します。さらに海表面温度に影響を与えることで(太陽光を反射させて冷却効果を持つ)大西洋のサイクロン活動にも影響を及ぼすと考えられています。サハラの砂塵は最終的にはアマゾンにたどり着き、そこの土壌を豊かにしていると言われています。

 

*ハルマッタン:Wikipediaより。サハラ砂漠から南のギニア湾岸地方に向けて、11月から4月にかけて吹き込み、この地域に乾季をもたらす。ちなみに、ジブリの語源となったギブリ(Ghibli) は、 アフリカ北部で吹く、サハラ砂漠からの高温の乾燥風、だそうです。

 

参考文献

Diana Francis et al. The Atmospheric Drivers of the Major Saharan Dust Storm in June 2020, Geophysical Research Letters (2020). DOI: 10.1029/2020GL090102

Warren Cornwall, ‘Godzilla’ dust storm traced to shaky northern jet stream.  Science. https://www.sciencemag.org/news/2020/12/godzilla-dust-storm-traced-shak…

 

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)