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135.農業と保全が交差するアフリカの食料の未来

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2020年9月10日、コロンビア大学Earth Instituteのサイト、State of the Planetにて、論考「農業と自然資本保全の交差点にあるアフリカ食料問題の未来を新たに構想せよ Re-Imagining Africa’s Food Future at the Intersection of Agriculture and Conservation」が掲載されました。

世界の深刻な食料危機に陥っている人の半分以上が暮らすアフリカで、食料安全保障の達成は極めて重要な意味を持ちます。アフリカにおいて農業は主要な生活源であり、多くの世帯では自らが生産した作物の少なくとも一部を消費しています。しかしながら食料生産・流通・消費の在り方は、人間と野生動物の両方が依存している自然資本と調和できていません。非持続的な農業慣行は生物多様性の喪失を引き起こし、人間と野生動物間の競合の増加、土地利用による生態系の喪失、水質と水量の低下、土壌劣化、汚染悪化につながっています。2050年までにアフリカの人口が25億人まで増加することを踏まえれば、農業生産のための土地開墾への圧力は高まり、湿地・森林・草地・土壌や水質、そしてそれらに依存している小規模農民の強靭性を脅かしています。

アフリカは、残存する世界の耕作可能な土地の60%を抱えていますが、これらの土地が短期的な食料生産と長期的な自然資本投資の利害の狭間で揺れています。2020年2月以来、サブサハラアフリカでCOVID-19によりさらに1200万人が急性の食料不足に追いやられ、今日の農業生産・食料安全保障の課題はさらに脅威にさらされています。COVID-19は食料安全保障と経済開発に影響を与え、我々の経済モデルをひっくり返し、我々の社会・政治・経済システムの綻びを晒しました。またそれは、我々の健康と福祉の観点から自然と自然資本の重要性を炙り出すことになりました。

復興プロセスの開始にあたり、我々のフードシステムの設計を見直す際に、人間および地球双方の健全性や福祉について振り返るチャンスです。このためには、農業慣行・バリューチェーンを見つめ直し、人間と自然を中心としたフードシステムを再考すべきです。我々は食料生産の向上と気候フットプリントの削減・自然資本の保全を両立させ、強靭かつ持続性のある解決法を見つけなければなりません。

参考文献

State of the Planet Earth Institute Columbia University. AGRICULTURE, SUSTAINABILITY

Re-Imagining Africa’s Food Future at the Intersection of Agriculture and Conservation

BY ALICE RUHWEZA, JEFF WORDEN, AND BRIGHTON KAOMA, SEPTEMBER 10, 2020 https://blogs.ei.columbia.edu/2020/09/10/re-imagining-africas-food-futu…

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

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