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68. 気候変動枠組条約 (UNFCCC):京都議定書の目標達成視野、一方、より野心的な介入が必要

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2020年6月17日、国連気候変動枠組条約 (UNFCCC)は、温室効果ガス(GHG)を1990年水準から少なくとも18%削減することを目標とした京都議定書第二約束期間の目標が実現可能であると伝えました。

京都議定書第二約束期間は、2012年カタールのドーハで採択された改正案で、2013年から2020年の期間を指します。改正案では、先進国による温室効果ガス排出量削減の数値目標を盛り込み、1990年水準に比べて18%削減するゴールを設定しました。

ドーハ改正案のもとで目標を掲げた締約国からの1990年~2018年の最新情報に基づく評価によると、2018年の温室効果ガス排出量は1990年より25.3%低い値でした。2019年・2020年も同程度の排出水準を維持できれば目標値を超えて削減を達成することもありえます。ただし、この評価はドーハ改正案のもとで排出量削減に合意した37先進国のみに限定されます。世界的には排出量は増加を続けており、野心的な介入が必要です。

2020年は、パリ協定のもとで自国が決定する貢献(NDC:nationally determined contribution)を提示する年であり、各国の気候変動対策への本気度が試されるタイミングです。NDCsは2020年以降のGHG排出削減等のための新たな国際枠組みであるパリ協定の根幹をなすものであり、各国が国内の事情と能力に応じて削減目標と適応策を設定します。世界的に現状の排出傾向が続けば世界の平均気温は3℃以上上昇しかねませんが、パリ協定では、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く保ち、可能な限り1.5℃以下に抑える努力を追求することを明記しています。

2005年に発効した京都議定書は、先進国に一定数値の温室効果ガス排出を課しています。2008-2012年の第一約束期間では1990年比で平均5%削減とされました。これまで、37先進国の排出水準は1990年比で22%削減し、当初の5%のターゲットを大幅に超えました。したがって、議定書は温室効果ガス濃度を安定させ、気候変動を回避する目的達成に重要な役割を果たしていると言えます。

(*)外務省HPからの捕捉:2020年までの枠組みである京都議定書では、先進国に対して,温室効果ガス排出を一定数値削減することを課している一方,途上国には削減義務を課していない。第一約束期間(2008~2012年)は日本-6%の削減義務があったが、第二約束期間(2013~2020年)には日本は参加していない。2020年以降の枠組みであるパリ協定は、史上初めて全ての国が参加する枠組みとして採択されたもの。

 

参考文献

UNCCC. Kyoto’s Second Phase Emission Reductions Achievable But Greater Ambition Needed. ARTICLE / 17 JUN, 2020. https://unfccc.int/news/kyoto-s-second-phase-emission-reductions-achievable-but-greater-ambition-needed

外務省 気候変動に関する国際枠組 https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page22_003283.html#:~:text=

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

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