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1453. タフでおいしいお米をつくりたい! ~アジアイネとアフリカイネの“いいとこ取り”に挑む~
1453. タフでおいしいお米をつくりたい! ~アジアイネとアフリカイネの“いいとこ取り”に挑む~
私たちが普段食べているお米や鶏肉、タマネギ、キャベツ、大豆といった食材。これらの食材は、ほとんどが“野生のまま”の動物や植物ではなく、人間が長い年月をかけて改良することで進化した「栽培種」です。主食であるお米はアジアイネ(学名 Oryza sativa)という種に属する栽培種で、その名の通り、アジア地域に分布する野生のイネから栽培化されたことが知られています。
お米は近年、アフリカの国々でもたくさん食べられるようになってきています。サブサハラアフリカの一国、ザンビアにおける伝統的な主食は、白トウモロコシ等を原料としたシマ(Nshima)でしたが、近年は都市化に伴う調理時間の短縮需要などに応えられる主食として、お米の消費が大幅に伸びてきています。サブサハラアフリカの国々で消費されるお米もほぼすべてアジアイネで、消費量の増大に伴い、現地でのお米の作付面積も大幅に増加しています。
一方で、アフリカにはアフリカで独自に栽培化されたお米である、「アフリカイネ(学名 Oryza glaberrima)」という種も存在しています。このアフリカイネの品種は、アジアイネと比べて収量が低く、味もあまり好まれないことから、現在はアフリカの限られた地域で栽培されているそうです。しかし、アフリカで栽培化されたその背景から、現地での病気に対する抵抗性や、やせた土地でも栽培できるといった長所を持つことが知られています。
アフリカには栽培種であるアフリカイネ以外にも、いくつかの野生種のイネが分布しています。そのうちの一種、Oryza longistaminata(ロンギスタミナータ、写真の野生イネ)は、非常に旺盛に成長することができる野生種です。
このロンギスタミナータが持つ旺盛な繁殖力や、アフリカイネが持つ病気への抵抗性と、アジアイネの高収量性・良食味性を組み合わせることができれば、アフリカの環境により適応した、たくさん収穫できるおいしいお米の品種を育成できる可能性があります。しかし、これらの種とアジアイネは種が異なるため、雑種を作ることが非常に難しく、これを「雑種障壁」といいます。私は、この雑種障壁を克服し、お米が実る雑種を育成するための研究をしています。アフリカに在来するイネ由来のタフさを持ち、アジアイネのようなおいしいお米が実る品種を作り出すことが、私の目標です。
*本稿は、広報JIRCAS記事を編集・再掲したものです。
(文責:熱帯島嶼研究拠点 國吉大地)