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1401. 滋養ある作物‘crops that nourish’

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1401. 滋養ある作物‘crops that nourish’

 

サブサハラアフリカの農業システムは、変革の岐路に立っています。グローバルシステムと市場が不安定な時代において、この地域は教育水準の高い若年層人口の急増を経験し、食料システム変革を加速させる大きなエネルギーに満ちています。しかしながら、生物物理学的(例えば、土地劣化)、社会経済的(例えば、食料不安)、そして(地政学的)政治的(例えば、紛争)な課題は依然として存在し、密接に関連しています。

従来の農業研究は、特にアジア全域で主食穀物の大幅な収量増加と生産者価格の安定を達成しましたが、環境の持続可能性と栄養に関して意図しない結果も生み出しました。また、米、小麦、トウモロコシに焦点を当てていたため、アフリカのほとんどの作物を見落としていました。近年、農業研究はより広い視点を持ち、総合的な農業食料システムを設計することが求められています。

食料システム変革パラダイムは、食料安全保障(カロリー)や作物の生産性(収量)といった狭い関心を超えて、栄養、土壌の健全性、回復力、気候変動、市場アクセスの改善、そして農村コミュニティの地域的繁栄といった要素を組み込んだ、より広範な視点を必要とします。Nature Food誌に寄せられた論説は、「滋養ある作物‘crops that nourish’」という概念を提唱、農家参加型の研究を促し、地域のニーズと主体性を尊重し、機会作物を通じた作物の多様性拡大を通じ、より健康で回復力のある食料システム構築の必要性を訴えます。

「滋養ある作物」とは、土壌の健全性を向上させ、環境ストレスへの耐性を持ち、栄養価が高く、農家とその地域社会のエンパワーメントに繋がる参加型プロセスを通じて生産され、私的および公的な利益をもたらす作物および栽培体系を指します。とくに、歴史的に農業研究で無視されてきた作物(十分に活用されていない作物)は、機会作物(opportunity crops)として再評価される可能性があります。例えば、アマランサスはタンパク質、繊維、鉄分、植物化学物質が豊富で、一般的に気候条件の大きな変動に耐性を持ち、土壌中の不溶性リンを植物が吸収できる形態に変換することで、近隣の植物やその後に続く植物に利益をもたらすと期待されています。

論説は、「滋養ある作物」概念を通じ、農家参加型の研究を促し、地域のニーズと主体性を尊重しながら、エビデンスの不足を埋めるための研究が必要ですが、収量のみにとどまらない要因で成功を評価するアプローチの必要性を訴えました。


(参考文献)
Schneider Lecy, K., Gonzalez, F.A., Becker-Reshef, I. et al. Agricultural research approaches for crops that nourish by improving nutrition, soil health, resilience and prosperity. Nat Food (2025). https://doi.org/10.1038/s43016-025-01271-3


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

 

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