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814. 黒海穀物イニシアチブ延長に向けた攻防

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814. 黒海穀物イニシアチブ延長に向けた攻防

昨年7月に締結されて以来、ウクライナ産作物の輸出を保障することで世界食料危機の回避に貢献してきた黒海穀物イニシアチブは、3度にわたって延長されてきました。7月17日の再延長期限が迫る中、ロシアが合意延長拒否の姿勢を示しています。

ロシアの言い分として、ロシアの銀行が国際的な銀行間通信網(SWIFT)から排除されており、ロシア産穀物や肥料への制裁が課されないという合意が守られていないと不満を述べています。合意延長のために、ロシアは、ロシアの農業銀行がSIWFT決裁システムに接続されること、貿易保険等への規制が撤廃されること、また、黒海経由でのロシアの肥料輸出を可能にするパイプライン(the Togliatti-Odesa ammonia pipeline)が再開されること、を要求していると伝えられています。  

一方、欧州連合は、穀物イニシアチブ延長についてプーチン大統領の支持を得るための「最悪の選択肢の中で一番まし」な手段について議論が進められていると伝えられています。

交渉の決裂は、サプライチェーンの寸断に関する危機を上昇させ、世界食料価格上昇の懸念を再燃させかねません。国連のエコノミストは、貧困世帯にとって予算の大部分を占める食料品関係の生活費上昇は、教育や保健など他の選択肢の縮小につながりかねないとし、期限切れ前に事態の解決につながるよう最善策を尽くすと述べています。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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