理事長挨拶

 

地球と食料の未来のために

理事長 小山修

小山理事長

 令和3(2021)年4月から開始された第5期中長期目標の期間(5年)もすでに2年が経過しました。第5期中長期目標(農林水産大臣からの指示)では、国立研究開発法人国際農林水産業研究センター(国際農研、JIRCAS)の高邁な使命が再確認されました。「我が国を代表する国際農林水産業分野における研究機関として、食料・農業・農村基本計画等の政策の実現に向け、我が国を含む世界の農林水産業技術の向上を図り、持続可能な農林水産業の発展に寄与する」というものです。そして、地球規模の食料・環境問題の解決を目指すため、以下の2つの重点業務が掲げられています。

 

 

(1)研究開発の効果的・集中的な実施

  • 地球規模課題の解決に向け、気候変動の影響を軽減しつつ環境に調和した強靱で持続的なシステムの構築を目指す取組や深刻な食料・栄養問題の解決のための生産性・頑強性向上に資する技術開発を強化するとともに、国際情勢の変化に応じ、アジア及びアフリカ地域を中心に対象地域の重点化を図る。

(2)センター機能の強化

  • 複雑化・多様化する開発途上地域・熱帯亜熱帯地域の農林水産業と地球規模の食料システムに係る課題や開発ニーズに関する情報を多角的に収集・分析し、地球環境や食料問題に関するオピニオンリーダーとして、国内外に広く情報を発信し、センター機能を強化する。

 この2年間、上記の目標を実現するため、新型コロナウイルス感染症の蔓延による渡航制限・行動制限のほか、いくつかの研究対象国での政情不安等の困難を乗り越えつつ、共同研究機関との信頼関係と国際農研職員の創意工夫によって、ほぼ計画に沿った業務が遂行され、「生物的硝化抑制能を強化したコムギの開発」など、世界的にも注目を集める数多くの研究成果が創出されました。

 昨年度(令和4年度)は、イノベーションによって持続性と生産性の両立を図る目的で政府が策定、推進している「みどりの食料システム戦略」を、類似した環境条件をもつ海外の地域(アジアモンスーン地域)のモデルとして発信し、国際的に展開するため、新たに「グリーンアジア」プロジェクトの実施機関となり、「みどりの食料システム国際科学諮問委員会」を設置し、適応可能な技術情報のとりまとめやそれら技術の現地適応のための応用研究などを進めています。

 国際農研は、「地球と食料の未来のために」を合い言葉にして、中長期目標を達成するため、中長期計画、年度計画、プログラム・プロジェクト工程表などを定めて業務を計画的にすすめています。解決すべき地球規模課題は困難で、目標までの道のりは平坦ではありませんが、国の予算を使う公的機関としての使命を常に自覚し、役職員一丸となって、人類共通の新たな価値を着実に創造していきます。関係者の皆様の変わらないご支援とご協力をお願い申し上げます。

第5期の組織・業務推進体制

理事長略歴

日本語
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英語
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