女性研究者からのメッセージ : 生産環境・畜産領域 荒井見和

国際農林水産業研究を志した動機は何ですか?

 学生の頃から環境問題に関心があり、農地における炭素循環・貯留に関わる研究を行なってきました。一方、土壌劣化による作物生産への影響は甚大であり、そのインパクトを低減するためには土壌中の有機物安定化メカニズムやそれを促進する技術を開発する必要があります。熱帯・亜熱帯地域は、土壌有機物に関する研究の蓄積が少ないことに加えて、水や炭素・窒素といった物質の移動量が大きく、土壌への有機物の投入・出力のバランスが崩れやすいという問題があります。持続的農業のための適切な土壌管理を最適化し、同地域の課題を解決したいと考えています。

 

現在取り組んでいる研究内容をご紹介ください。

 気候変動を緩和するために、農地の土壌に炭素を貯めるメカニズムに関する研究を行なっています。フィリピンと石垣島を対象地として、土壌の詳細な理化学分析を実施し、どのような土壌の要因が土壌炭素量の増加に寄与するのかを評価しています。

 

女子学生の皆さんに伝えたいメッセージは何ですか?

 私たちの足もとに広がっている土壌は、食料生産を支える基盤ですが、温室効果ガスの発生源となったり、土壌侵食や土壌肥沃度の低下などさまざまな問題を抱えています。このようなさまざまな問題の解決のためには、正しい科学的な知識に基づくアプローチが必要です。ご自分の興味や関心、問題意識を大切に、いろいろなことに挑戦していただければと思います。