目的基礎研究

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2018-08-13

新たな発想に基づく「目的基礎研究」を推進し、農林水産業・食品産業分野における技術革新や新事業の創出など、将来のイノベーションにつながる技術シーズを開発します。 

平成28年度に将来のイノベーションに繋がる技術シーズの創出を目指すため、理事長インセンティブ経費を活用し、現在、以下の5課題の目的基礎研究を開始しています。

G-1. 国際共同研究で開発した育種材料や遺伝資源の利用に向けた特性評価【国際育種素材】

世界のイネ(コメ)は、2010年には6億9600万トン生産され、このうち90%がアジアで占められる最も重要な穀物です(2013年Rice Almanac, IRRI 4th Edition)。世界では数千種のイネ品種が栽培されていますが、国際農研では開発途上国のイネ増産のため、国際稲研究所(IRRI)等と共同してインド型品種の遺伝的改良を図ってきました。本研究では、これまでの国際共同研究で開発した育種素材や国内外の遺伝資源を日本に導入し、多収性、病虫害抵抗性、環境ストレス耐性などの特性評価を行うとともに、保存、公開を進めます。

G-2. 新産業酵母の機能性成分の特性解明と新たな飼料サプリメント開発【新産業酵母】

農産廃棄物はバイオ燃料生産の資源になり、循環型社会の構築や温暖化ガス排出の削減に貢献することが期待されています。国際農研では、バイオ燃料生産の付加価値を高めるため燃料用エタノール生産過程で排出される発酵残渣に着目し、酵母由来のたんぱく質やビタミンの栄養成分、免疫活性物質など飼料サプリメントとしての可能性を研究開発しています。

G-3. ゲノム解析技術を利用した農水産物における有用遺伝子の探索システムの開発【システムゲノム】

ゲノム解析技術利用が様々な生物種で一般化しつつあり、モデル生物でなくても分子レベルの機能解析が可能になり始めています。国際農研では、非モデル生物であるエビやバッタの成熟や相変異に注目して、形態形成に関わる分子メカニズムの解明につながるゲノム解析技術の研究を行っています。

G-4. 成熟機構解明による有用エビ類の高度な種苗生産・養殖技術の開発【エビ成熟】

世界のエビの漁獲量は約350万トンあり、それに対して養殖よる生産量は450万トン以上となっています(2015年FAOデータ*)。エビの養殖に必須である種苗生産では、親エビの卵成熟を促進技術として、片方の眼を切除する手法がとられることがありますが、これにはエビへの肉体的負担や動物虐待といった課題があります。本研究では、エビの生殖機構に関する知見を踏まえ、新たな成熟制御技術を研究開発しています。

*FAO Yearbook – Fisheries and Aquaculture Statistics 2015

G-5. 国内外への展開を目指した熱帯・島嶼研究拠点の戦略的熱帯果樹研究【戦略的熱帯果樹研究】

世界の熱帯果樹の生産量は主要なものの合計で2億5千万トンに達し、世界の穀類の生産量のおよそ10%に相当します(2016年FAO)。日本でも熱帯果樹として、パインアップル(6600トン)、マンゴー(3327トン)、パッションフルーツ(414トン)などが生産されています(平成25年農林統計)。東南アジアではマンゴーは重要な換金作物ですが、安定生産や高付加価値化への体系的な取り組みは進んでいません。国際農研では主要な産地のひとつであるミャンマー国と共同で同国のマンゴー遺伝資源の品種特性および遺伝的多様性について研究しています。また、マンゴーおよびパッションフルーツについて、安定生産に重要な開花特性に関する研究を実施しています。

 

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