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252. エチオピア高原における、ため池土砂を活用した農地造成技術の開発

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サブサハラアフリカの多くの地域では、農地の拡大と薪炭材確保のための森林伐採を契機に、土壌侵食を始めとする土地劣化が拡大しています。東アフリカに位置するエチオピア高地では、森林の減少が土壌侵食の主要因となり、近年、農業や農村の生活環境にも大きな影響を与えています。

アフリカ大陸で2番目の人口に相当する1.1億人のエチオピアでは農業がGDPの30%強と雇用の66%を占めていますが、近年人口増加率は2.6%あり、食料生産基盤の強化を必要としています。作物の生産性を向上させるためには土壌水分を保持することが重要ですが,エチオピアで灌漑が実施されている面積の割合は0.5%に過ぎず,雨水を有効利用するためのウォーターハーベスティング技術やインフラ整備が求められています。

アフリカ流域管理プロジェクトの一環で,国際農研は、エチオピア高原地域を対象に、現地の大学や地方政府と連携しながら、土砂流入の問題を抱えるため池の機能回復を可能にし、土砂を活用した農地を造成する技術を開発しました。造成農地は土地なし農民などの就農機会や農家の現金収入源を提供することで、住民の生活向上が期待できます。

このたび、(公社)農業農村工学会が発行する『水土の知』の表紙に、プロジェクトサイト近くに位置する橋の写真が採用され(本記事の写真)、カバーヒストリー「エチオピア高原における農地への架け橋―エチオピア連邦民主共和国ティグライ州カワトレイル橋―」にてプロジェクトの内容が紹介されています。

*本記事は、(公社)農業農村工学会に許可を得て、学会誌に掲載された記事を再掲しております。掲載の責任は文責が追うものの、掲載記事の著作権は(公社)農業農村工学会に帰属します。

参考文献
水土の知:2021年2月号第89巻第2号pp.42-43
(文責:農村開発領域 幸田和久)

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