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203. 2021年は果物と野菜の国際年

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コロナ禍が世界を席巻し、怒涛の一年となった2020年もあと数日を残すのみとなり、新たな年がやってこようとしています。

国連は、地球規模で取り組む必要のある重要なテーマについて、国際年(International Year)を定め、問題について考え行動を起こすよう呼び掛けています。2021年は、「平和と信頼の国際年」、「持続可能な開発のための創造的な経済の国際年」、「児童労働の根絶のための国際年」、そして「果物と野菜の国際年」とされています。

果物と野菜の国際年2021は、2019年12月の国連総会で宣言されました。栄養、食料安全保障、健康、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に対する、果物と野菜の重要な役割についての認識を高めるためです。国際年を通じて、果物や野菜を含む多様でバランスの取れた健康的な食事とライフスタイルを促進し、食品ロスを削減し、ベストプラクティスを共有します。

果物や野菜の摂取は健康に有益です。食物繊維、ビタミン、ミネラル、フィトケミカルが豊富で、子供の成長と発達に不可欠であり、免疫システムを高めるのに役立ちます。うつ病や不安神経症、肥満、非感染性疾患(NCDs)のリスク低下にもつながります。腸の健康も促進し、微量栄養素欠乏症を改善します。世界保健機関(WHO)は、健康的な食事の一部として毎日最低400グラムの果物と野菜を食べることを推奨しています。

しかし、入手可能性、価格、知識や意識の欠如など数々の要因により、世界中の多くの人々は十分な量の果物・野菜を摂取していません。食品ロスの問題も大きく、途上国で生産された果物と野菜のうち、収穫から消費の間のサプライチェーンで失われる割合は最大40%にのぼると言われています。

この国際年は、栄養に関する行動の10年(2016-2025)、家族農業の10年(2019-2028)など、他のいくつかの重要なイニシアチブを補完して働きます。グテーレス国連事務総長は、この国際年を利用して、食料の生産と消費との関係を再考し、フードシステムを再検討し、必要とする多様な栄養に誰もがアクセスできる、より健康的で強靭で持続可能なものにしようと述べました。

国際農研は、開発途上国地域の大学・研究機関や国際研究機関などのパートナーとともに、気候変動に適応する野菜・果物品種開発につながる研究栄養改善のための農業研究に関する情報提供・発信を行っています。 

 

参考文献

国際連合広報センター. 国際年. https://www.unic.or.jp/activities/international_observances/years/  accessed on Dec 24, 2020.

UN News. Fruits and vegetables crucial for healthy lives, sustainable world: Guterres. https://news.un.org/en/story/2020/12/1080492 accessed on Dec 24, 2020.

World Vegetable Center. International Year of Fruits and Vegetables 2021.  https://avrdc.org/2021-international-year-of-fruits-and-vegetables/ Accessed on Dec 24, 2020.

(文責:研究戦略室 白鳥佐紀子)

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