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国際連合食糧農業機関(FAO)「2019年世界食料・栄養白書 [2019 THE STATE OF FOOD SECURITY AND NUTRITION IN THE WORLD.」概要

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2019年世界食料・栄養白書によると、2018年に世界で十分な食料にありつけない人々の数は推定8億2000万人と、前年の8億1100万人を超え、過去3年連続で増加し、2030年までに「飢餓をゼロに」とうたった持続可能な開発ゴールの達成に暗雲が立ち込めている。

栄養失調の子供や低体重で生まれる乳児の数を半減させるためのシンポは遅い一方で、過体重や肥満問題は悪化している。こうした問題は、経済成長が低迷し、国際一次産品に依存する中所得国で顕著である。これらの国では所得格差が悪化しており、貧困層や脆弱な社会層が真っ先に経済危機の打撃を受け、栄養問題に直面することになる。

アフリカの状況は最も深刻で、とりわけ東アフリカにおいては、気候変動・異常気象や紛争に加え、経済成長の低迷のため、人口の3分の1が栄養失調に陥っていると推定される。

栄養失調に陥った人々の絶対数が多いのはアジア、とりわけ南アジアであり、アフリカとアジアを合わせて世界全体の成長阻害の子供の9割を抱え、南アジアとサブサハラアフリカの子供の3人に一人が成長阻害をこうむっているとされる。同時に、不健康な食生活の蔓延により、アジアとアフリカだけで、世界の過体重の子供の4分の3をカウントするとされている。

今年の報告書は、SDG2達成度を測るために、食料安全保障の危機の度合い(the prevalence of moderate or severe food insecurity)を測る指標を導入した。

より詳しい内容に関しては、以下の報告書原文を参照のこと

 

http://www.fao.org/state-of-food-security-nutrition/en/

http://www.fao.org/3/ca5162en/ca5162en.pdf

 

なお、概要に関する本翻訳は、FAOから公式に承認を受けたものではなく、翻訳上の誤りなどの責任は文責にある。

(文責:研究戦略室  飯山みゆき)

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