国際機関動向

アフリカにおけるバイオエネルギーの動向を分析した2種類の報告書「サブサハラアフリカ農村における持続可能なバイオエネルギー解決策」及び「持続可能な収穫:アフリカにおけるアグロフォレストリー及び窒素固定木質作物を活用したバイオエネルギーのポテンシャル」が国際再生可能エネルギー機関(IRENA)から公表

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情報収集分析

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「サブサハラアフリカ農村における持続可能なバイオエネルギー解決策」の概要

本報告は、サブサハラにおいて、食料安全保障の強化、社会福祉の向上、環境の持続可能性の確保に取り組む現地の優良事例をとりまとめたものである。

現在、サブサハラアフリカ農村部におけるバイオエネルギーの生産を推進する上で、①森林減少や重労働を伴う持続可能でないバイオエネルギーの原料供給、②呼吸器疾患を引き起こす不健康なエネルギー生産システム、③バイオエネルギー供給の持続可能性を確保するための手段の欠如という3つの課題に直面している。これらは相互に関連しており、それぞれの解決策もまた横断的である。

まず、社会的なジェンダーの役割が十分考慮されなければならない。参加型アプローチに取り組むマリの事例が示すように、マイクロファイナンスの導入や調理用エネルギーの改良等を通じた女性の能力向上は、女性の収入向上に寄与する。ガーナでは、宿泊施設に乾燥魚やシアバターを提供する女性グループに対する支援により、バイオエネルギーの持続可能性の向上がみられた。ジェンダーの視点からバイオエネルギーの持続可能性を評価する手法として、バイオエネルギー技術のステークホルダー持続可能性評価ツール(SATBT)は有効である。

生態系に配慮した農法(アグロエコロジー)として、土地の高度差等自然の地形を活用した農法、プッシュ・プル農法、アグロフォレストリー及び放牧の混合型農法等が実践されている。バイオ炭の活用は、サブサハラで広範にみられる酸性土壌の中和によって、土壌水分の保持、作物の微量元素の吸収を促進するバクテリアの養成が図られ、ガーナやケニアではメイズ収量の増加につながった事例が報告されている。上総掘りは、低コストで高度な技術を必要としない地下水の効率的な利用方法として適用が期待されている。

育種を通じた収量向上の取組としては、アグロフォレストリーやエネルギー生産に利用できるAcacia tortilisの林木育種や、サトウキビの新品種の開発等が進められている。

新技術の適用も重要であり、例えば、もみ殻やピーナッツ殻等廃棄物からブリケットへの加工、キャッサバ・パルプ等農産加工残渣からエタノールの生産、残渣や廃棄物を利用した発電等の取組がみられる。家畜糞尿からバイオガスを生産するケニアの事例では、生産されたエネルギーが牛乳の冷蔵に利用され、廃棄量の大幅な削減につながっている。エチオピアではコーヒー豆の殻からバイオガスを生成してコーヒーの焙煎を行うなど、循環的な利用が生まれている。また、調理用ストーブの効率改善を通じた伝統的木質バイオマスの利用削減は、Kamado JIko`等多くの実践例があり、環境の保全、薪の採取を行う子供や女性の重労働の開放、呼吸器疾患の減少等に寄与する。

モザンビークでは、無電化村で農民が農地のフェンスとして植栽し、収穫したジャトロファ種子からバイオディーゼルを生産してエネルギーとして利用するとともに、販売で得た収益をデジタル通貨として地域経済に還元する取組が行われている。

 こうした優良事例はいずれもサブサハラアフリカの農民自ら解決手法を提供するものであり、スケールアップが期待される。

https://www.irena.org/publications/2019/Jan/Sustainable-Rural-Bioenergy…

「持続可能な収穫:アフリカにおけるアグロフォレストリー及び窒素固定木質作物を活用したバイオエネルギーのポテンシャル」の概要

世界の人口増加に伴って食料と燃料の需要拡大が必要となる中、窒素固定木質作物(nitrogen-fixing wood species)を農作物と間作するアグロフォレストリーがその解決のポテンシャルを有している。本書では、アフリカを対象とし、15種類の短伐期型木質作物(short rotation woody crops- SRWCs)について、シナリオ分析に基づき、技術的及び潜在的に収穫可能なバイオマス収量の評価を行っている。

木質作物について、既存のデータベースでは土地ごとの収量データは入手不可能であるが、土壌及び気象データから推定することは可能である。まず、光合成や植物呼吸等の生物物理的プロセスをベースとする「制約条件なしのバイオマス生産ポテンシャル」を分析した上で、気象や土壌の制約要因を踏まえた「理論的な収量ポテンシャル」を算出し、最後に、都市、道路、産業インフラ、森林、保護地域等を考慮した、「技術的な収量ポテンシャル」を算出している。

その結果、窒素固定木質作物の「技術的な収量ポテンシャル」は、ha当たり2トン~16トンと推定された。「理論的な収量ポテンシャル」は、農地で最も高く、農地の95%で短伐期型木質作物の生産ポテンシャルを有している。草地では短伐期型木質作物の生育適地は30%に過ぎないが、生産のポテンシャルは草地で最も高い。耕作が行われていない条件不利地での適用も可能である。

短伐期型木質作物の生育適地は、アフリカ全体で5億5500万haに達する。土地の条件に最も適した樹木を選定の上、耕作地面積の80%に農作物を栽培し、残りの20%に短伐期型木質作物を間作するアグロフォレストリーを実践した場合、木質バイオマスの年間収量は6億8400万トンとなり、13EJの一次エネルギー供給に相当する。ただし、木質作物が伐期に達するのに5~7年要する。

農作物との間作によって高収量をあげられる樹木のうち、毎年萌芽更新(annual coppicing)を繰り返すのに適するのは5つの樹種である。こうした集約的施業は、木質作物の収量を減少させる一方、窒素固定効果により農作物の収量は維持することができる。アフリカの主食であるメイズは2400ha万で栽培されているが、そのうち適地とされる1500万haにおいて毎年萌芽更新作業(annual coppicing)の実施を伴うSRWCsの間作を行うと仮定すると、2200万トンの作物増収と300万トンの木材供給が期待される。

https://www.irena.org/publications/2019/Jan/Sustainable-harvest--Bioene…