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1236. 健康な老化のための食生活

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1236. 健康な老化のための食生活

 

世界では高齢化が急速に進行しており、2030年までに6人に1人が60歳以上になると推定されています。この人口動態の変化を踏まえれば、不健康な食生活に起因する非感染性疾患の蔓延が、既に負担にあえいでいる医療システムへの負荷をさらに増大させることは明白です。したがって、健康的な食生活の促進は、世界的な優先事項です。
これまでも、多くの研究*において、健康的な食生活と非感染性疾患の予防との関連性が実証されてきました。(*コホート研究:調査時点で、仮説として考えられる要因を持つ集団(曝露群)と持たない集団(非曝露群)を追跡し、両群の疾病の罹患率または死亡率を比較する方法。どのような要因を持つ者が、どのような疾病に罹患しやすいかを究明し、かつ因果関係の推定を行うことを目的としている。)一方、健康的な老化のための最適な食生活パターンを特定するための研究はほとんど行われてきませんでした。

Nature Medicine誌に掲載された最近の論文は、最長30年間の追跡調査データを精査し、健康的な老化と8タイプの食生活パターンへの順守率および超加工食品の摂取量との関連性を調査しました。健康的な老化とは、11の慢性疾患を患うことなく、70歳まで生き、身体・認知機能および精神的健康を損なわずに生きることと定義されました。本研究には、米国における2つの大規模コホート研究に参加した男女計105,015人のデータが用いられ、結果は、性別・祖先・社会経済的地位およびライフスタイル要因によって層別化されました。

論文の結果、参加者のうち9.3%(女性66%、平均年齢53歳)が健康的な老化を達成しました。果物、野菜、全粒穀物、不飽和脂肪酸、ナッツ類、豆類、低脂肪乳製品の摂取量が多いほど、健康的な老化の可能性が高まりましたが、トランス脂肪酸、ナトリウム、加糖飲料、赤身肉または加工肉(あるいはその両方)の摂取量が多いほど、健康的な老化の可能性は低くなりました。

研究結果は、植物性食品を多く含み、健康的な動物性食品を適度に含む食生活パターンが、健康的な老化を促進する可能性を示唆しており、将来の食生活ガイドラインの指針となることを示しました。

 

(参考文献)
Tessier, AJ., Wang, F., Korat, A.A. et al. Optimal dietary patterns for healthy aging. Nat Med (2025). https://doi.org/10.1038/s41591-025-03570-5


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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