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698. 肥料入手可能性についての課題

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698. 肥料入手可能性についての課題

1月17日、世界でも最大の肥料会社の一つ、ヤラ・インターナショナルのCEOが、多くの国々がロシア産肥料に食料生産を依存する中、「食料を武器として使っている "weaponising food"」とし、世界的な燃料・肥料・エネルギー危機をもたらしたとしてロシア大統領を非難したことが報道されました。

ロシアは肥料および肥料生産原料である化学物質の最大の輸出国の一つですが、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻により天然ガスの価格が高騰し、肥料生産価格は史上最高水準まで高騰した結果、食料価格の上昇につながりました。

1月5日の世界銀行のブログは、2022年初頭に比べれば、最近の肥料価格は落ち着いてきてはいますが、歴史的に高い水準を維持しており、入手可能性については課題が残る、と指摘しています。 ブログによると、最近の価格下落は、価格高騰に直面した農家が使用を控えたことを反映しており、次の要因も産業に影を落としていると述べました。

窒素肥料の原料である天然ガスの高騰により、欧州では2022年10月にアンモニア生産キャパシティが70%の削減を迫られました。ただし、液体天然ガス輸入の増加や暖冬の予測も受けてここのところ原料価格は落ち着いてきており、窒素肥料生産の再開に繋がるのではないかとみられています。

ロシアのウクライナ侵攻後、EUやアメリカはロシア・ベラルーシへの制裁を課しました。世界の食料安全保障への悪影響を回避するために食料・肥料セクターは免除されたものの、ベラルーシからのカリ輸出はEU領域通過の制限等により50%落ち込みました。

供給不安のもとで、国内向け肥料確保のために中国は2022年末まで肥料輸出規制を延長し、中国からのDAP輸出は2022年10月までに55%落ち込み、尿素輸出は60%下落しました。

 

一時的な食料供給の寸断に比べ、投入財価格の高騰は、農家に肥料使用削減や代替的作物栽培等の行動変容をもたらし、食料生産性や食料供給全般に中期的な不確実性をもたらす可能性もあります。食料安全保障に影響を与える様々な要因を注視していくことが重要です。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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