令和7年度計画

令和7年度計画
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第1 研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項

1 研究開発マネジメント<企画セグメント>

(1)政策の方向に即した研究の戦略的推進

  •   気候変動への対処や新たな食料システムの構築に係る地球規模課題の解決に向け、開発途上地域及び我が国の双方に裨益する研究開発を戦略的に推進する。また、みどりの食料システム戦略のアジアモンスーン地域への展開の具体化を図る。このため、以下の取組を行う。
  • ア 研究対象地域における活動の制約リスクに対処するため、これまでに構築した国際研究ネットワーク及び国内施設を活用して研究を推進する。
  • イ 中長期目標達成のため、令和5年度に実施した中間見直しに基づいて修正した工程表に基づく研究課題の進捗管理を行う。
  • ウ 理事長の裁量による研究職員への効果的なインセンティブの付与や研究環境の充実を図るとともに、外部資金の獲得に積極的に取り組み、研究資金の効率的活用に努める。
  • エ 将来の技術シーズの創出や革新的な技術開発に繋がる基礎研究(目的基礎研究)課題及びシーズ研究課題を推進する。次期中長期計画のためのFS調査を実施する。
  • オ ICT等を活用して、より効果的・効率的な研究推進体制の構築を進める。

(2)産学官連携、協力の強化

  •   開発途上地域における農林水産業に関する研究水準の向上と課題解決に貢献するため、開発途上地域や先進諸国の研究機関及び大学、CGIAR等の国際研究機関、国際的な研究ネットワーク、国際機関、民間企業、NGO等との国際共同研究や人的交流を積極的に推進する。特に「みどりの食料システム基盤農業技術のアジアモンスーン地域応用促進プロジェクト」での同地域におけるネットワーク構築による国際連携を進める。
     また、情報セグメントにおける戦略的パートナーシップの構築を研究実施取決及び共同研究契約の締結等により支援するとともに、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 (以下「農研機構」という。)、国立研究開発法人森林研究・整備機構(以下「森林機構」という。)、国立研究開発法人水産研究・教育機構(以下「水産機構」という。)等との情報交換や人的交流、研究交流の機会を拡充し、各法人の強みを生かしシナジーをもたらす研究開発等を推進する。国際農研は、開発途上地域及び熱帯・亜熱帯地域における農林水産業研究に関する中核的な役割を担う一方、我が国における国際農林水産業研究を包括的に行う唯一の試験研究機関として、我が国の農林水産業研究の高度化等に貢献するため、農研機構、森林機構、水産機構等との人事交流を含めた強い連携体制を構築する。

(3)知的財産マネジメントの戦略的推進

  •   研究開発成果は地球公共財(Global Public Goods)として開発途上地域での利活用を促進する観点に加え、迅速な社会実装や技術普及、わが国のプレゼンス向上等の観点も踏まえ、オープン・クローズを組み合わせた戦略的な知的財産マネジメントを推進する。このため、以下の取組を行う。
  • ア 研究開始段階から社会実装を見据え、権利化・秘匿化・標準化・公知化といった選択肢を戦略的に見極める。知的財産権審査会において、権利化又は秘匿化すべき発明であるか、その他発明の取扱いについて審査を行う。審査に当たっては、知的財産に関する基本方針に基づき、最も適切な方法を採用する。
  • イ 共同研究の実施に当たっては、技術の流出や情報漏えい、目的外利用等、知的財産の侵害を防止するため、必要に応じて秘密保持契約を締結する他、令和6年度に改正された国立研究開発法人国際農林水産業研究センター安全保障輸出管理規程に基づき必要な確認を行う。また、共同研究によって得られる知的財産の取扱いについて、共同研究契約に定める。
  • ウ 上記を着実に実施するため、知的財産に係る専門的知識や経験を有する職員の確保や外部専門家の導入など体制強化の検討を行う。

(4)研究開発成果の社会実装に向けた取組の強化

  •   研究開発成果の普及と社会実装を図るため、以下の取組を進める。なお、取組に当たっては、必要に応じて科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成20年法律第63号)に基づく出資並びに人的及び技術的援助の手段等を活用する。特に国際農研の特許等を活用した事業を行う成果活用事業者で、理事長が認定した認定ベンチャー企業に対する支援を強化する。
  • ア 研究開発成果については、研究成果の公表届を活用して、権利化の可能性や秘匿化の必要性等を検討する。公知化が望ましいものについては、プレスリリース、研究成果情報、学術雑誌等への論文掲載等により積極的に公表する。令和6年度に定めた国立研究開発法人国際農林水産業研究センターオープンアクセス方針に基づき研究成果等の公開を進める。
  • イ 成果の利活用が見込まれる国や地域において、セミナー・ワークショップ・住民説明会等を開催し、受益者への速やかな情報提供を図るとともに、データベース、マニュアル、プログラム等をウェブサイト等で公開する。
  • ウ 特に活用が見込まれる成果については、研究成果情報や主要普及成果に選定し、ウェブサイト等への掲載や外部イベントへの出展等により実利用を促進する。
  • エ 情報セグメントにおける開発セクターや企業等事業者との戦略的パートナーシップによる技術の普及や実利用に向けた取組を支援する。
  • オ 法人の主要な研究開発成果について、フォローアップ調査を計画的に実施し、ウェブサイト等で公表する。

(5)広報活動及び国民との双方向コミュニケーションの推進

  •        国際農研の活動及び成果並びに開発途上地域を対象とする国際的な研究開発の必要性や国際農研の貢献及び研究活動を通じた科学技術外交への寄与等について、国民からの理解が得られるよう広報活動に取り組む。これらの取組を通じて、今中長期計画における広報活動の成果を定量的・定性的に総括し、国際農研の認知度及び影響力の向上について多角的な評価を行う。
  • ア 情報セグメントにおける戦略的情報提供の取組を支援するため、プレスリリース・取材対応等によってメディアを有効に活用するとともに、刊行物の発刊、メールマガジンの発信、外部イベントへの出展など、多様な媒体やコミュニケーションツールを活用し、国内外における情報発信や双方向コミュニケーションの機会拡充に取り組む。
  • イ 国際農研の活動に対する国民の声を把握するよう務めるとともに、理解の増進に向けて、一般公開に加え、外部イベントへの出展、サイエンスカフェ、出前授業等のアウトリーチ活動に取り組む。また、シンポジウムやセミナーのオンライン開催等、新たな方式のアウトリーチ活動へ積極的に取り組む。
  • ウ 共同研究の相手機関、研究対象地の所在国政府、国際NGO等と連携し、現地ワークショップや説明会など研究実施地域の住民の理解を促進するための取組を推進する。

(6)行政部局等との連携強化

  •    我が国の政策に対応した適切な研究開発と施策への貢献を図るため、以下の取組を進める。
  • ア 研究の設計から成果の普及・実用化に至る各段階において、関係行政部局との情報交換を密に行うとともに、毎年度の国際農林水産研究連携推進会議等に関係行政部局の参加を求め、ニーズの把握や成果の検証を行う。
  • イ 行政部局の要請に対応し、緊急時対応、各種連絡会議及びシンポジウムの開催並びに国際機関及び学会等への職員派遣等に協力する。また、農林水産省が進めるみどりの食料システム基盤農業技術のアジアモンスーン地域応用促進事業に同省と連携して取り組む。
  • ウ 行政、各種団体、大学等の依頼に応じ、他の機関では実施が困難な分析及び鑑定を行う。

2 気候変動対策技術や資源循環・環境保全技術の開発<環境セグメント>

 気候変動に対処し、持続的な農林水産業と適切な資源管理を両立するため、以下の取組を行う。

 アジアモンスーン地域に適用可能な気候変動対応技術の開発を目指し実施してきた、間断灌漑下における温室効果ガス排出量の観測結果、肉牛へのカシューナッツ殻液(CNSL)給与試験結果等を報告書として取りまとめる。酵母細胞壁を利用した家畜生産性向上に資する飼料の生産方法を確立する。熱帯土壌における土壌炭素貯留に関する技術の試験結果を報告書として取りまとめ、研究機関等へ提供する。これらの開発技術を用いた炭素クレジットの創出及び活用を促進するため、関係機関と連携し民間企業等関係者の意見交換・情報共有を行う。さらに、わが国の民間企業等において関心が高まっているJCMについて、行政からの要請等も踏まえ、技術的観点の助言や専門的知見の提供などを行う。

 農作物残渣の環境負荷低減と資源循環を両立する適正処理を進め地球規模環境問題を改善するため、未利用バイオマスの前処理技術の高度化、糖化微生物群の機能解析や最適化を行い、スケールアップ可能な糖化プロセス技術を確立し、その実用化に向けた最終評価を行う。加えて、メタンや二酸化炭素を原料とした液体燃料や生分解性プラスチックなど付加価値素材の生産技術の評価を完了する。また、農作物残渣が環境へ与える影響評価を結論付けるともに、社会実装に向けた民間企業との事業化に向けた戦略を具体化する。

 生物的硝化抑制(BNI)強化コムギの普及に向け、日本国内及びインドにおいて優良品種へのBNI能導入と圃場試験を継続し、得られた中間母本の特性情報を得る。トウモロコシ、ソルガムのBNI能の活用に向けた育種基盤を確立すると共に、トウジンビエ、シコクビエなどの雑穀類のBNI能活用技術の開発を進める。ブラキアリア牧草を活用した輪作技術やBNI作物導入によるインパクト評価を実施し、国際農研が主宰するBNI国際コンソーシアムの参加者間の連携を促進する。

 熱帯林遺伝資源を対象として、環境変動に対する成長応答のモデル化・林業適地評価に基づく、栽培種の候補と種苗配布地域の提案、生産性と環境適応性の強化技術の開発に基づく、ゲノム選抜モデルによる種苗改良法の提案、環境適応的な成長予測モデルによる森林造林技術の提案、生態系機能回復に向けた森林施業指針の提案、森林遺伝資源の樹種特性、樹種・個体選抜や地域適応情報を関係国森林行政機関等と共有する。

 熱帯島嶼を対象として、劣化山地において、早生樹の被覆による土壌流出の軽減と植生の利用価値発現を両立させる利用システムを提案する。未利用有機資源活用技術、サトウキビ深植栽培技術及び新規地下灌漑システムOPSISなどの環境負荷軽減技術及び極端気象へのレジリエンス強化のための技術を提案する。マングローブなどの生物機能による環境保全対策技術を提案する。河川調査及び水文水質モデルの解析を進め技術導入効果を提案するとともに、技術導入のための体制・手法案を取り纏める。

 乾燥地の灌漑農地及びライシメーターにおいて浅層暗渠と地中灌漑の効果を検証する。また、対象地域での農家調査から、開発技術の有効性と普及可能性を検証する。得られた知見を持続的土地管理法として技術マニュアルにとりまとめる。

3 新たな食料システムの構築を目指す生産性・持続性・頑強性向上技術の開発<食料セグメント>

 開発途上地域の農業開発ニーズに対応し、対象地域の安定的な食料生産並びに国際的な食料需給及び食料栄養安全保障に貢献するため、以下の取組を行う。

 レジリエント作物開発に向けて、塩ストレス処理キヌアのトランスクリプトーム解析や塩蓄積パターンを解析し、キヌアの優れた耐塩性メカニズムに関連した遺伝子を同定する。また、イネのリン利用効率が異なる系統の網羅的な発現比較解析を実施し、高いリン利用効率を持つイネに特徴的な応答を明らかにする。耐塩性遺伝子領域を導入したダイズ有望系統については、品種登録を行い実用化への道筋をつける。さらに、病害診断の加速化に向けて、主要ダイズ病害の簡易診断手法を開発する。

 ラオスや日本の黒米等を用いて作出した育種素材や品種等の抗酸化能を解析して、これらの有用性を評価する。玄米麹甘酒や乳酸発酵甘酒の機能性や保存性を高める製法を開発して、これらを普及するための情報を取りまとめ、ラオス等の製造業者等に提供する。ヤムイモ小塊多茎系統の効率的栽培技術とUAVによるヤムイモの地上部バイオマスの非破壊推定法を取りまとめて研究機関等に提供する。

 サバクトビバッタの群生相化予測モデル開発のための野外調査と、生態に基づく効率的防除法に関するリーフレット作成を実施する。ウンカの天敵類に関する成果をとりまとめ、天敵利用推進のために公開する。ツマジロクサヨトウの防除技術に関する評価試験を行うとともに、総合的害虫管理マニュアルを作成する。ツマジロクサヨトウのトウモロコシ需給への影響評価と、農家レベルでの防除技術の経済的評価を行う。

 マレーシアの熱帯カキ養殖場で現地の環境に合わせて開発されたカキ稚貝用中間育成装置や漁場監視システムなどの研究成果を取りまとめ、現地カキ養殖業者に向けたマニュアルを作成する。タイにおけるウシエビ養殖における海藻餌料の投餌効果をとりまとめ、現地養殖業者に向けて公開する。フィリピンのハネジナマコ養殖において、稚ナマコの種苗生産に必須とされる付着珪藻類の大量培養法の開発を行う。

 タンザニアでは、水文モデルと収量推定モデルをもとに天水田の生産ポテンシャルを解明する。開発したイネ系統の対象国栽培環境での効果を検証し、品種登録候補を選抜する。マダガスカルでは、開発した水稲品種や施肥法の普及を進める他、水稲の諸形質と養分環境との相互作用が収量に及ぼす効果、マメ科遺伝資源や微生物資材の利用法、農業生産が稲作農家の所得や栄養に及ぼす影響に関する知見をまとめる。

 ガーナでは輪作を含む畑作物作付体系の複数年の所得を最大化する営農計画案を提示する。これまでに開発された家畜飼料及び畑地灌漑の現地適応技術を提示する。ブルキナファソでは試験結果に基づき土壌保全基準を提案するとともに、農家圃場での改良型土壌保全技術の実証試験を完了する。気候変動による収量変動を低減する畑作物の栽培管理手法をとりまとめる。また、両地域で技術普及に向けた知見をとりまとめる。

4 戦略的な国際情報の収集分析提供によるセンター機能の強化 <情報セグメント>

 国内外に向けた情報発信として、以下の取組を行う。

 世界の食料安全保障の課題や開発途上地域の農林水産業に係るニーズを把握するため、食料システム転換議論や食料栄養需給動向など広範な情報の継続的な収集・整理を行い、多様な媒体・機会を活用して広く効果的・戦略的に発信する。TICAD9などの機会を捉えたイベント企画開催や、各種国際会議への参加を通じ、食料や環境に関する国際的な議論に積極的に関与する。世界の栄養素供給量分析やアフリカのデジタル農業技術適用条件などのオリジナル・コンテンツ作成や分析を進め、成果を提供する。

 「みどりの食料システム基盤農業技術のアジアモンスーン地域応用促進事業」の国際科学諮問委員会を年2回開催することとし、そのうち1回(2025年秋)をJIRCASシンポジウムと連携して開催する。農水省傘下の国立研究機関(国際農研、農研機構、森林機構、水産機構)の技術に産総研及び大学の技術を加え、オールジャパンの技術カタログとなった「アジアモンスーン地域の生産力向上と持続性の両立に資する技術カタログver.3.0」について国際機関が主催する会議への積極的な参加等を通じ情報発信することにより、アジアモンスーン地域の食料システム転換に関する議論に貢献する。当該事業の最終年度として、アジアモンスーン諸国の研究機関と連携し、代表的な技術の応用研究の成果を確定するとともに、その経験等を踏まえた方法論のとりまとめを行う。

 また、研究開発成果の社会実装等に向けた以下の取組を行う。

 エビ知財活用の一環として、大型エビプラント及び日本国内の稚エビニーズを把握するとともに、国内商業ベースプロトタイプふ化場の設立に向け、親エビ養成・稚エビ飼育に関する問題を整理する。また、卵黄形成ホルモンに対する二本鎖RNAのデリバリー方法の開発において、経口投与量・回数を精査する。閉鎖循環システムを用いた種苗生産工程において、親エビ養成における成熟導入効率を向上させる。アジアモンスーンモデル植物工場では熱帯・亜熱帯地域での果菜類の栽培・環境制御技術の最適化のために、化学肥料や電力量などの利用効率を向上させるための栽培試験を石垣島の熱帯・島嶼研究拠点と共同研究機関であるインドネシアのパジャジャラン大学とで実施する。

 熱帯性作物遺伝資源の情報利用促進に向け、インド型イネ遺伝資源の特性データベースの構築を進める。サトウキビ及び熱帯果樹遺伝資源の特性評価、イネ有用形質の遺伝的・機能的な特性評価を実施するとともに、近縁種等の育種利用法の効率性の評価を進める。また、育種素材や品種候補系統の評価を進める。

  • ア 熱帯・島嶼研究拠点の立地環境を活用し、農業生物資源ジーンバンク事業における熱帯・亜熱帯作物のサブバンクとして、 サトウキビ及びその近縁種、パインアップルを含む熱帯果樹類の遺伝資源を栄養体で保存する活動を継続するほか、農研機構が実施するサトウキビ育種事業に、交配作業への協力等で貢献する。
  • イ 国際招へい共同研究事業、特別派遣研究員事業等を実施し、開発途上地域及び我が国の研究人材育成を図るとともに、他の国立研究開発法人、大学、国公立機関、民間、海外機関等から講習生、研修生を積極的に受け入れ、人材育成や技術水準の向上に貢献する。

第2 業務運営の効率化に関する事項

1 経費の削減

(1)一般管理費等の削減

 運営費交付金を充当して行う事業については、業務の見直し及び効率化を進め、一般管理費については少なくとも対前年度比3%の抑制、業務経費については少なくとも対前年度比1%の抑制を行うことを目標に削減する。

(2)調達の合理化

  • ア 公平性・透明性を確保しつつ、自立的かつ継続的に調達等の合理化に取り組むため、定量的な目標や具体的な指標を含む「調達等合理化計画」を、6月末までに策定し、着実に実行するとともに、実績評価の際に自己評価を行う。また、特例随意契約を適用する際の契約監視委員会の「事前承認」に係る包括的承認手続きを早期に進め、同委員会の承認を得て運用する。
  • イ 農研機構との間で共同調達、落札価格情報の共有などの連携を進め、効率化を図る。

2 組織・業務の見直し・効率化

(1)組織・業務の再編

  • ア 中長期目標の達成に向けて、組織・研究体制や業務を柔軟に見直す。
  • イ グループウェアにおけるワークフロー(電子申請)の利用促進を図るとともに、テレビ会議システムやオンライン会議システムを活用することにより拠点を含めた情報伝達と意思決定の迅速化を図る。また、各種手続についても、電子決裁、オンライン手続き等の検討を進め、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進による業務効率化を図る。
  • ウ 上記の取組により、適切な人員配置と業務の最適化を図る。

(2)研究施設・設備の集約(施設及び設備に関する計画)

 研究施設・設備整備については、老朽化の現状や研究の重点化方向を踏まえ、他法人等の施設の利用など検討した上で、整備しなければ研究推進が困難なもの、老朽化が著しく改修しなければ研究推進に支障をきたすもの、法令等により改修が義務付けられているものなど、業務遂行に真に必要なものを計画的に整備するとともに、利用を促進し、利用率の向上を図る。

 施設整備費補助金による整備については、令和7年度に「海外生物工学実験棟空調設備改修工事」の一部を実施し、また、令和6年度から繰越して「隔離温室改修工事」の整備を併せて実施する。

 

第3 予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画

1 予算

 

令和7年度予算(単位:百万円)

   

企画
セグメント

環境
セグメント

食料
セグメント

情報
セグメント

法人共通

合計

 

収 入

 前年度よりの繰越金

運営費交付金

施設整備費補助金

   受託収入

  寄附金収入

  諸収入

 

   計

 

 

 

18

486

20

44

0

0

 

568

 

 

37

832

0

91

0

0

 

961

 

 

50

1,115

0

124

0

0

 

1,290

 

 

18

499

0

45

0

0

 

563

 

 

124

2,932

20

305

0

1

 

3,381

 

 

0

634

0

0

0

0

 

634

 

 

124

3,566

20

305

0

1

 

4,015

 

支 出

   業務経費

  施設整備費

   受託経費

  一般管理費

  人件費

 

  計

 

 

 

276

20

44

0

231

 

571

 

 

394

0

91

0

476

 

961

 

 

518

0

124

0

648

 

1,290

 

 

280

0

45

0

237

 

563

 

 

1,469

20

305

0

1,591

 

3,385

 

 

0

0

0

111

523

 

634

 

 

1,469

20

305

111

2,114

 

4,018

注記]

  1. 収入の「前年度よりの繰越金」は、令和7年度に繰越となった運営費交付金人件費を計上した。
  2. 運営費交付金は、令和7年度政府当初予算による運営費交付金予算を計上した。
  3. 施設整備費補助金は、令和7年度政府当初予算による施設整備費補助金予算を計上した。
  4. 「受託収入」については、農林水産省及び他省庁分の委託プロジェクト費等を計上した。
  5. 百万円未満を四捨五入してあるので、合計とは端数において合致しないものがある。

2 収支計画

令和7年度収支計画(単位:百万円)

   

企画
セグメント

環境
セグメント

食料
セグメント

情報
セグメント

法人共通

合計

 

費用の部

   経常費用

    人件費

    賞与引当金繰入

   退職給付費用

業務経費

    受託経費

    一般管理費

   減価償却費

   財務費用

   臨時損失

 

収益の部

  運営費交付金収益

   賞与引当金見返に係る収益

  退職給付引当金に係る収益

諸収入

  受託収入

  寄附金収益

   資産見返負債戻入

   臨時利益

 

純利益

前中期目標期間繰越積立金取崩額

総利益

 

 

 

560

216

15

0

258

44

0

27

0

0

 

 

471

15

0

0

44

3

27

0

 

△0

0

0

 

 

941

445

31

0

352

81

0

31

0

0

 

 

797

31

0

0

91

0

20

0

 

△1

1

△0

 

 

1,263

605

42

0

462

111

0

42

0

0

 

 

1,067

42

0

0

124

0

31

0

 

2

1

3

 

 

552

221

16

0

260

40

0

16

0

0

 

 

481

16

0

0

45

0

11

0

 

0

0

1

 

 

3,316

1,487

104

0

1,331

277

0

116

0

0

 

 

2,814

104

0

1

305

3

90

0

 

1

2

3

 

 

656

414

29

79

0

0

111

22

0

0

 

 

525

29

79

0

0

0

22

0

 

0

0

0

 

 

3,971

1,902

133

79

1,331

277

111

139

0

0

 

 

3,340

133

79

1

305

3

112

0

 

1

2

3

[注記]

  1. 収支計画は、令和7年度政府当初予算及び前年度よりの繰越金を基に予定損益として作成した。
  2. 「受託収入」は、農林水産省及び他府省の委託プロジェクト費等を計上した。
  3. 百万円未満を四捨五入してあるので、合計とは端数において合致しないものがある。

3 資金計画

令和7年度資金計画

   

企画
セグメント

環境
セグメント

食料
セグメント

情報
セグメント

法人共通

合計

 

資金支出

業務活動による支出

   投資活動による支出

財務活動による支出

   次期中長期目標期間への繰越金

 

資金収入

   業務活動による収入

    運営費交付金による収入

     受託収入

   寄附金収入

     その他の収入

   投資活動による収入

     施設整備費補助金による収入

    その他の収入

   財務活動による収入

     その他の収入

   前年度よりの繰越金

 

 

599

533

38

0

28

 

599

530

486

44

0

0

20

20

0

0

0

49

 

961

909

51

0

0

 

961

924

832

91

0

0

0

0

0

0

0

37

 

1,290

1,220

70

0

0

 

1,290

1,239

1,115

124

0

0

0

0

0

0

0

51

 

563

537

26

0

0

 

563

544

499

45

0

0

0

0

0

0

0

18

 

3,412

3,199

185

0

28

 

3,412

3,238

2,932

305

0

1

20

20

0

0

0

155

 

634

633

0

0

0

 

634

634

634

0

0

0

0

0

0

0

0

0

 

4,046

3,833

186

0

28

 

4,046

3,871

3,566

305

0

1

20

20

0

0

0

155

[注記]

  1. 資金計画は、令和7年度政府当初予算を基に予定キャッシュフローとして作成した。
  2. 「受託収入」は、農林水産省及び他府省の委託プロジェクト費等を計上した。
  3. 「業務活動による収入」の「その他の収入」は、諸収入額を記載した。
  4. 「前年度よりの繰越金」は、令和7年度に繰越となった人件費等を計上した。
  5. 百万円未満を四捨五入してあるので、合計とは端数において合致しないものがある。

4 自己収入の確保

 外部研究資金の獲得、受益者負担の適正化、特許実施料の拡大等により、自己収入を確保する。

5 保有資産の処分

 現有の施設・設備について自主点検を行い、利用率の低いものについては、その改善の可能性等の検討を行った上、保有の必要性が認められないものについては適切に処分する。

 

第4 短期借入金の限度額

短期借入金は、4億円を限度とする。

第5 不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産がある場合には、当該財産の処分に関する計画

なし 

第6 重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画

なし

第7 剰余金の使途

なし

第8その他業務運営に関する重要事項

1 ガバナンスの強化

(1)内部統制システムの構築

  • ア DX推進により内部統制や業務の高度化・効率化・利便性向上に取り組むとともに、業務用情報システムの更新時にクラウドサービスとの連携を図るなどDXに資するシステムを構築する。
  • イ 理事長のリーダーシップの下、役職員の担当業務、権限及び責任を明確化し、役員会及び運営会議等において迅速かつ的確な意思決定がなされるよう、その補佐及び意思伝達に取り組むとともに、理事長を委員長とする内部統制委員会の指揮下、内部統制の整備・運用を強化する。
  • ウ 指揮命令系統を明確化し、国際農研の方針や決定事項について速やかに法人内に周知・実施できるよう、管理業務の責任者分担の改善等により体制整備に取り組む。
  • エ 法人の目標や各業務の位置づけ等について役職員の理解を促進し、役職員のさらなるモチベーション向上を図るため、全職員を対象としたコンプライアンス一斉研修において、法人ミッションに関する講義や理事長からの情報発信等を実施する。
  • オ 国際農研の業務全般の遂行や研究セキュリティ・研究インテグリティ確保に障害となる要因(リスク)を識別、分析、評価するとともに、リスクへの対処が適切になされるよう取り組む。

(2)コンプライアンスの推進

  • ア 国際農研に対する国民の信頼を確保する観点から、必要に応じて内容を見直しながらコンプライアンス一斉研修や教育訓練等を実施し、法令遵守や倫理保持に対する役職員の意識向上を図る。
  • イ 政府が示したガイドライン等を踏まえ、研究活動における不適正行為の防止や研究セキュリティ・研究インテグリティ確保のため、リスク分析・評価の結果を踏まえ、コンプライアンス一斉研修やeラーニング等による職員教育の充実を図る。

(3)情報公開の推進

 公正な法人運営を実現し、法人に対する国民の信頼を確保する観点から、法定情報の速やかな公開に努める。さらに、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)等に基づき、情報公開を推進するとともに、情報開示請求に対しては適切に対応する。

(4)情報セキュリティ対策の強化、情報システムの整備及び管理

  • ア 政府統一基準群(令和5年7月改訂)に伴い令和5年度末に改定した、情報セキュリティ関係規程(情報セキュリティポリシー・ガイドライン・マニュアル)に基づき、業務用情報機器の適切な管理及び使用に関する教育等を通じて情報セキュリティ対策の徹底を図る。また、令和7年度実施予定の NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)の第3回マネジメント監査・ペネトレーションテストへの対応を行う。あわせて、政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群の改訂が令和7年度に見込まれることから、情報セキュリティ関係規程の改定に着手する。
  • イ 情報セキュリティ監査等において改善等の必要があった場合には速やかに改善策を講じる。
  • ウ 保有する個人情報や技術情報を適切に管理する。
  • エ 情報システムの整備及び管理については、デジタル庁が策定した「情報システムの整備及び管理の基本的な方針」(令和3年12月24日デジタル大臣決定)に則り、PMOを中心とした体制により適切に対応する。

(5)環境対策・安全管理の推進

  • ア 薬品等の管理に関する安全教育、職場巡視及び定期的な点検を行うとともに、化学薬品管理システムを活用して化学物質等の保管と使用を適正に管理する。
  • イ 輸入禁止品や生物材料等の入手・管理に関する教育訓練を強化し、法規制のある土壌や生物材料等の管理を徹底する。
  • ウ 法人内で使用するエネルギーの削減を図る。また、廃棄物等の適正な取扱を職員に確実に周知し、法人全体でリサイクルの促進に取り組む。また、農林水産省の全ての補助事業等に対して最低限行うべき環境負荷低減の取組の実践を義務化するクロスコンプライアンスを導入することを踏まえ、環境負荷軽減の取組を実践し、適切かつ確実に手続きを行う。
  • エ 職員の安全衛生意識の向上に向けた教育・訓練、職場巡視などモニタリング活動を実施し、作業環境管理の徹底を図る。また、労働災害発生防止のため継続的な注意喚起やヒヤリハット事例等を活用した事故等の未然防止活動に取り組む。
  • オ 外務省感染症危険情報等の情報収集に努め、海外で活動する職員に対して適切な安全対策を講じる。
  • カ 令和5年度に整備した災害等緊急時対応体制を維持するとともに、必要に応じ「非常時における業務継続計画に基づく業務継続対応マニュアル」を見直す。また、職員の防災意識の向上に資する教育訓練や必要な設備の設置・管理を行う。

2 研究を支える人材の確保・育成

(1)人材育成プログラムの実施

  • ア 研究管理者や研究業務の支援、技術移転活動等を行う人材を育成するため、人材育成プログラムに基づく取組を実施する。
  • イ 研究業務の支援、技術移転活動等を行う人材についてキャリアパスを活用し育成する。
  • ウ 行政部局等との人的交流、知識の習得や技能の向上を図るための各種研修の開催、外部機関等が行う研修の活用等により、職員の資質向上を図る。

(2)人事に関する計画

  • ア 業務の着実な推進のため、必要に応じて職員を重点的に配置するなど、柔軟で適切な人事配置を行う。
  • イ クロスアポイントメント制度、テニュア・トラックを付した任期付制度、定年延長制度や再雇用制度、公募による採用等、多様な制度を活用し、国際農研の業務推進に必要な人材の確保に努める。
  • ウ 優秀な女性・若手職員を積極的に採用するとともに、女性の幹部登用、ワークライフバランス推進等の男女共同参画の取組を強化する。さらに、国籍に依らない研究職員の採用を進める。

(3)人事評価制度の改善

  • ア 関係規程や業績評価マニュアル等を必要に応じて改定し、公正かつ透明性の高い業績及び能力評価システムを運用するとともに、人事評価結果を適切に処遇等に反映する。
  • イ 研究職員については、研究業績、研究成果の社会実装、運営業務への貢献、目標の達成度等、多角的な観点に基づく業績評価を実施する。

(4)報酬・給与制度の改善

  • ア 役職員の報酬・給与については、国家公務員や民間企業の給与水準等を勘案した支給水準とする。
  • イ クロスアポイントメント制度など多様な雇用体系に柔軟に対応できる報酬・給与制度の導入に取り組む。
  • ウ 透明性の向上や説明責任の一層の確保のため、給与水準に係る検証結果や取組状況を公表する。

3 主務省令で定める業務運営に関する事項

 前中長期目標期間繰越積立金は、第4期中長期目標期間中に自己収入財源で取得し、第5期中長期目標期間へ繰り越した有形固定資産の減価償却に要する費用等に充当する。

 また、施設及び設備に関する計画については、本計画第2の2(2)、職員の人事に関する計画については、本計画第8の2(2)のとおり行う。