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264. 高解析度のアフリカ土壌マップ

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アフリカの多くの国々では、人口増加に伴う食料需要の著しい上昇に対して、農業生産性の向上が追い付いておらず、慢性的に食料輸入に依存しています。その農業生産性の改善には、土壌肥沃度の十分な理解とその土壌情報に基づいた肥培管理技術の確立が必要です。アフリカには多様な農業生態系が存在し、土壌肥沃度の指標である化学的・物理的性質も極めて変異が大きいことが分かっています。その上、短い距離においても微地形の影響を受け、その性質も大きく変化します。

アフリカの土壌肥沃度の理解を深めるため、適切な肥培管理技術確立のため様々な調査が行われてきました。近年その多量なデータをまとめ、土壌肥沃度のデジタル地図の作成が進んでおります。その作成には、国際農研とともに共同研究を行っているCGIARにおいて研究に取り組むチームの研究者らも貢献してきました。その成果として、今年、30m解像度の新たな土壌マップがScientific Reports誌で発表されました。 

その作成には、150,000の土壌サンプルとリモートセンシング技術で得られる地球観測データを用いて予測した土壌pH、有機炭素、全窒素等の土壌肥沃の特性が用いられました。既存の250mメッシュの地図よりもその予測精度は向上しています。この30mメッシュの土壌情報は農業生産性向上に向けた土壌の基礎情報を提供し、その土壌情報に応じた肥培管理技術の確立に貢献すると期待されます。この地図情報はすでにウェブで発表されております。

参考文献

Hengl, T., Miller, M.A.E., Križan, J. et al. African soil properties and nutrients mapped at 30 m spatial resolution using two-scale ensemble machine learning. Sci Rep 11, 6130 (2021). https://doi.org/10.1038/s41598-021-85639-y

(文責:Africa Rice Center/社会科学領域 齋藤和樹)

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