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国際連合「世界都市人口予測・2018年改訂版 [United Nations (2018). 2018 Revision of World Urbanization Prospects.]」概要

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世界都市人口予測2018年改訂版

  • 2018年現在、55%の世界人口が都市部に暮らしている。1950年には、30%に過ぎなかった都市部人口は、2050年には68%に達すると予測されている。
  • 今日、最も都市化した地域は、北米(2018年の都市化率82%)、ラテンアメリカ・カリブ地域(81%)、欧州(74%)、オセアニア(68%)である。アジアの都市化率は現在50%に近づきつつある一方で、農村人口が未だに多いアフリカでは都市化率は43%に留まっている。
  • 世界の農村人口は、1950年来、緩やかな増加を続け、現在34億人に達したが、数年でピークに達し、2050年には31億人程度になると予測されている。アフリカとアジアで世界の農村人口の90%を抱えている。インドが最大で(8.93億人)、二位が中国(5.78億人)である。
  • 世界の都市人口は1950年の7.51億人から2018年の42億人に急激に増加した。今日、アジアは世界的にみて相対的に都市化が遅れているものの、世界の都市化人口の54%を抱える(次点はヨーロッパとアフリカで各13%)。
  • 都市化人口の増加は、純粋な人口増と農村から都市への人口移動の両方に起因し、2050年までに都市部人口は25億人増加し、そのうちの90%近くがアジアとアフリカでの増加であると予測されている。
  • インド・中国・ナイジェリアの三カ国だけで、2018-2050年の世界都市人口増加の35%に寄与することが予測されている。予測される都市人口の増分は、インドで4.16億人、中国で2.55億人、ナイジェリアで1.89億人である。
  • 世界の都市人口の半数近くが、50万人未満の都市に居住する一方、8人に一人が1000万人以上規模の33メガシティに居住している。2030年には世界で43のメガシティが予測され、その殆どが途上国地域に存在することになる。
  • 今日、3700万人の人口を抱える東京大都市圏が 世界で最大の都市であり、以下デリー(2900万人)、上海(2600万人) 、メキシコシティ・サンパウロ(各2200万) が続く。カイロ、ムンバイ、北京、ダッカの人口も既に2000万人を射程に入れている。
  • 一方で、アジアやヨーロッパなど出生率が低く、人口が停滞している国において、人口減少を経験している都市もある。

持続的な都市化が開発の鍵となる

  • 世界的な都市化動向の中で、持続的な開発は、2050年までに最速の都市化が予測されている低所得・低中所得国における都市部拡大に如何に適切に対応できるかにかかっている。都市部のみならず農村部の人々の生活改善には、都市-農村、経済的・社会的・環境的リンクを強化しつつ、バランスの取れた政策が必要となる。

 

より詳しい内容に関しては、元データ(https://esa.un.org/unpd/wup/)、 または2017年に発表された以下の報告書原文を参照のこと。 

United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division (2017). World Population Prospects: The 2017 Revision, Key Findings and Advance Tables. Working Paper No. ESA/P/WP/248. https://esa.un.org/unpd/wpp/Publications/Files/WPP2017_KeyFindings.pdf

なお、概要に関する本翻訳は、国際連合から公式に承認を受けたものではなく、翻訳上の誤りなどの責任は文責にある。

(文責:研究コーディネーター  飯山みゆき)

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