東南アジア未利用バイオマス資源からの糖質生産技術とその高度利用技術の開発(アジアバイオマス)

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高付加価値化

2021-03-09

東南アジア未利用バイオマス資源からの糖質生産技術とその高度利用技術の開発(アジアバイオマス)

 バイオマスは、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」であり、生命と太陽エネルギーがある限り持続的に再生可能な資源で、大気中のCO2を増加させない「カーボンニュートラル」と呼ばれる特性を有しています。このため、化石資源由来のエネルギーや製品をバイオマスで代替することにより、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスのひとつであるCO2の排出削減に大きく貢献できます。

 東南アジア諸国は急速な経済的発展を続けており、膨大な人口を擁することから、世界のエネルギー消費や環境問題に大きな影響を与えることが懸念されています。一方でこれらの国々は熱帯地域に位置し、年間を通じてバイオマスを生産できる資源大国でもあります。これらの国々と共同でバイオマス研究や技術開発を推進することは、我が国とのパートナーシップの強化やアジア地域の環境保全、エネルギー確保のうえできわめて重要な意義を持つと考えられます。

 本プロジェクトでは、東南アジアに賦存するオイルパーム、キャッサバ、サトウキビ等の非食用部や未利用部分である茎葉幹などリグノセルロース部分を効率的に糖質へ変換する技術を開発し、その糖質を再生可能エネルギーや生分解プラスチックへ変換する技術の実用化を目指します(図1、図2)。さらにバイオマス利用拡大における農業や環境への影響の検証に取り組みます。得られた研究成果は、東南アジア地域における循環型社会の構築やバイオマス資源の高付加価値化に貢献すると期待できます。

図1 酵素を使わない生物学的セルロース糖化技術により、微生物が直接セルロースを分解

(タイ キングモンクット工科大学との共同研究)

図2 オイルパーム伐採木断面へのヨウ素溶液の噴霧によって、貯蔵中の糖蓄積の可能性を簡易に判別

(右;糖蓄積するパーム幹、左;糖蓄積しないパーム幹。マレーシア理科大学との共同研究)

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