研究成果
国際農林水産業研究センターは、IHI環境エンジニアリング及びタイのキングモンクット工科大学と共同研究契約を締結
平成27年5月20日
国立研究開発法人国際農林水産業研究センター
ポイント
国際農林水産業研究センターは、東南アジアにおける農産廃棄物からのバイオガス1)製造技術の実用化促進のために、IHI環境エンジニアリング及びタイのキングモンクット工科大学と共同研究契約を締結することとしており、同契約の調印式をタイにて執り行います。
概要
国際農林水産業研究センター(以下「JIRCAS」という。)と IHI環境エンジニアリング(以下「IKE」という。)は、マレーシアにおけるオイルパーム産業廃棄物(廃棄木や廃液)からのバイオガス製造技術の事業展開に取り組んでいます。IKEは、バイオガス製造技術(IHI-ICリアクター2))を有しており、JIRCASとともにオイルパーム以外の農産廃棄物(キャッサバパルプ3)、サトウキビバガス、籾殻)を利用したバイオガス生産技術を、マレーシアの他、タイ、インドネシア等へ展開することを目指しています。
また、JIRCASとキングモンクット工科大学トンブリ4)(以下「KMUTT」という。)は、タイにおいて農産廃棄物を利用した微生物糖化技術5)の開発に関する共同研究を進めています。
今回、契約を締結する共同研究は、JIRCASの有する微生物糖化技術を用いて、農産廃棄物(リグノセルロース系バイオマス6))から糖化液を製造し、IKEの技術でメタン発酵処理しメタンガスを得る「リグノセルロース系バイオマスからのエネルギー創生技術と環境対策技術」の開発をタイにおいて行うものです。
今後、JIRCAS、IKE、KMUTTの三者の共同研究により、本技術が実用化されれば、エネルギー資源の多様化に貢献するとともに、化石燃料に大きく依存している現状と比べ、より環境に配慮したエネルギー供給体制の構築に資することとなります。
共同研究契約の締結式について
- (日時及び場所)
- 日時 平成27年5月20日(水) 午後2時から4時まで
(日本時間午後4時から6時まで) - 場所 Prabha Prachaksubhaniti Meeting Room (AD907), 9th floor, The Office of the President Building
King Mongkut’s University of Technology Thonburi, Bangmod, Bangkok, Thailand
- 日時 平成27年5月20日(水) 午後2時から4時まで
- (調印者)
- JIRCAS: 理事長 岩永 勝
IKE: 代表取締役社長 荻野 政之
KMUTT: 学長 Sakarindr Bhumiratana
- JIRCAS: 理事長 岩永 勝
問い合わせ先など
-
国際農林水産業研究センター(茨城県つくば市)理事長 岩永 勝
研究推進責任者:プログラムディレクター 齋藤昌義
研究担当者:生物資源・利用領域 小杉昭彦
広報担当者:情報広報室長 森岡伸介
プレス用 e-mail:koho-jircas@ml.affrc.go.jp
本資料は農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブ、筑波研究学園都市記者会に配付しています。
用語の解説
- バイオガス
一般に生物の排泄物、汚泥、エネルギー作物などの発酵、嫌気性消化により発生するメタンガスで、バイオ燃料の一種です。 - IHI-ICリアクター
嫌気性微生物群の凝集・集塊化機能を利用したメタン発酵バイオリアクターによる、非常に効率の優れた高速嫌気性排水処理システムです。 - キャッサバパルプ
キャッサバ芋からデンプンを抽出した後の残渣(タピオカ残渣)のことです。抽出し切れないデンプンや芋繊維を含む、有効利用が期待される農産廃棄物の一つです。 - キングモンクット工科大学トンブリ(KMUTT)
タイで初めて創設された工科大学。キャンパスはメインキャンパス(Bangmod)を含め主に3つあり、機械工学、建築学、エネルギー学、環境学が有名です。 - 微生物糖化技術
従来のセルラーゼなどの酵素でセルロースを分解するのではなく、セルロース分解菌の培養だけでセルロースを直接分解、糖化させる技術であり、酵素を利用する方法よりも低コストとなる可能性が高い技術です。 - リグノセルロース系バイオマス
木材、稲わらやサトウキビバガス(サトウキビの絞りかす)など、主成分がセルロースとヘミセルロース、そしてリグニンで構成されている植物性バイオマスのことです。