アフリカの食料問題解決のためのイネ、畑作物等の安定生産技術の開発(アフリカ食料)

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農産物安定生産

2019-10-15

アフリカの食料問題解決のためのイネ、畑作物等の安定生産技術の開発(アフリカ食料)

国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」では、<飢餓の終息、食料安全保障および栄養改善を実現、持続的農業の促進>が第2の優先目標に掲げられています。この目標達成のためには、2億1千5百万人以上の人々が栄養不足に直面しているといわれるサブサハラアフリカ地域(SSA)の食料不足問題を解決することが重要な課題です。JIRCASは第3期中期計画の中で、SSAにおけるコメの急激な消費増大のために生産性向上が求められているイネや、同地の地域作物として重要な位置を占めるササゲ・ヤム等の作物について研究を実施しました。現地の共同研究機関とともに達成したこれらの研究成果を最大化し、SSAの食料問題解決に貢献するため、JIRCASは第4期中長期計画でアフリカ食料プロを立ち上げました。このプロジェクトでは「資源の効率的利用による持続性の向上」、「未利用遺伝資源の有効な活用」、「消費者嗜好性・農民のニーズの理解」を基調として、「イネ増産」、「地域作物の活用」に「耕畜連携」を加えた3つの課題について以下の研究を行います。

  1. イネ増産については、肥料の吸収利用効率等が改良された育種素材、圃場養分特性の簡易評価法と特性に応じた肥培管理技術を開発し、それらを組み合わせた新しい栽培技術をアフリカの環境下で検証します。 また、灌漑稲作普及に必要な水を効率的、効果的に利用するための技術を開発します。さらに、作物選択およびイネ増産等、開発技術の導入が栄養状態に及ぼすインパクトを評価します(図1)。
  2. 地域作物の活用については、SSAの「地域作物」であるササゲとヤムを対象に、選抜した遺伝資源やその多様性情報、遺伝学的解析ならびに形質評価ツール等を効率的に利用して、両作物の農業/品質に係る情報の蓄積と評価技術の開発を行い、 国際機関および各国の育種プログラムが活用できる形で提供します(図2)。
  3. 耕畜連携については、雨季と乾季を有する熱帯サバンナ気候における酪農の振興に向けて、畑作物の生産や食品加工の過程で生じる副産物を畜産業に利用し、土壌肥沃度維持のため家畜糞等の廃棄物を畑作物栽培に利用するとともに、農家による飼料生産も推進するような、年間を通じて効率的・効果的な耕畜連携モデルを構築します(図3)。

これらの研究による成果が、国際機関や関係諸国の研究者・普及員に利用され、地域環境に適応した作物品種の開発と効率的な資源・土地利用が進むことによって、農家と消費者に裨益し、SSAの食料の持続的安定生産・供給と、食の多様化が促進されることが本プロジェクトの願いです。

図1 増産が求められるイネ(ガーナ)

図2 地域の人々の食生活を支えるササゲ(左、ナイジェリア)とヤム(右、ガーナ)

図3 人々の栄養改善への貢献が期待される酪農(モザンビーク)

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