[乾燥地草原保全]北東アジア乾燥地草原における異常気象等のリスクに強い持続的農牧畜業の確立

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資源環境管理

2021-03-02

モンゴル国等北東アジア乾燥地草原では近年、多くの家畜が斃死する寒雪害(モンゴル語でゾド)が相次いでいます。ゾドの原因は、異常気象や、過放牧による草地資源の劣化にあるとされており、その発生は、国家や個々の牧畜経営体に甚大な被害を及ぼします。そこで本プロジェクトでは、このような被害による経営リスクや草地劣化リスクを低減し得る牧畜技術の開発による、持続的農牧畜業の確立を目指します。具体的な研究課題は、次のように、大きく3つに分けられます。 
 
第1に、草種構成の異なる草地において夏の最大草量と季節ごとの家畜採食量を求めるとともに、寒冷期の飼料不足を避けるため、秋から春にかけての適正放牧頭数を推定する手法を開発します。そして、最大草量を見積もる衛星画像データと併せて、広域に適用できる牧養力速報マップの作成手法とその伝達手段を開発します。 
 
第2に、有望な飼料作物に関する情報を整理し、土壌劣化を回避し得る持続的な輪作条件を見いだす他、地域において利用可能な様々な飼料資源のサイレージ化等による補助飼料調製・保存技術、補助飼料給与による子畜の早期出荷技術、および、付加価値の高い乳製品等を開発することで、リスクの低減に寄与し、牧畜経営を安定化させます。 
 
第3に、牧畜経営体での経営調査を実施し、地域や世帯の特性、あるいは草地利用制度が自然災害の経営リスクに及ぼす影響と、リスクへの対処策を明らかにし、自然災害リスクに強い牧畜経営手法を提案します。

図1 ステップでのヒツジ・ヤギ群の放牧

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