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880. 南米における熱波と旱魃

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880. 南米における熱波と旱魃

 

既に今年9月の記録的な高温については既に欧州の気象機関からも報告されているところですが、10月13日、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は2023年9月が174年間の記録の中でも最も暑かったと発表しました。NOAAによると、2023年の9月平均気温は20世紀平均の15℃を1.44℃上回り、長期的な平均値からの外れ値も最大となり、2001-2010年の7月平均気温よりも上回る異常な暑さでした。2023年は6月以来4か月連続で月別最高気温を更新しており、NOAAが記録を取り始めて以来最も暑くなる可能性が指摘されています。

9月はとりわけアフリカ、ヨーロッパ、北米、南米で最高気温を記録しましたが、中でもブラジル中央部・北部では9月中旬に40℃を超える異常な熱波に見舞われました。

極端現象と気候変動の因果関係を分析するWorld Weather Attributionは、10月10日、南半球が春を迎えたタイミングにおける30年に1度の異常な熱波に対し、気候変動の影響を報告しました。分析によると、気候変動がなければ本来は1.4℃~4.3℃は低かったはずであるとし、化石燃料燃焼による温暖化が熱波の確率を100倍近く高めた可能性を指摘しました。将来の温暖化が進めば、今回のような熱波は5倍程度起こりやすくなり、1.1-1.6℃高くなる可能性があるとのことです。 エルニーニョ現象が広域の気象パターンに影響を与えたとしても、極端な熱波への影響は気候変動と比べれば小さいとされます。

最近、ブラジルのアマゾン川流域でも深刻な干ばつが報道でされており、世界で最も豊かな生態系を支えるアマゾン熱帯林への気候変動の影響も懸念されるところです。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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