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840. フードシステムと地球の目標:切り離せない2つの政策課題

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840. フードシステムと地球の目標:切り離せない2つの政策課題


栄養のための農業とフードシステムに関するグローバルパネル(The Global Panel on Agriculture and Food Systems for Nutrition)は先月、ポリシーブリーフ「フードシステムと地球の目標:切り離せない2つの政策課題(Food systems and planetary goals: two inseparable policy agendas)」を発表しました。本グローバルパネルは、世界の食料と栄養の安全保障に積極的に関わっている影響力のある専門家たちの独立したグループです。


 本ブリーフでは、気候変動と地球の目標を達成しなければフードシステムには未来がない、しかし逆に言えば、地球と人類の健康に損害を与え続けている持続不可能なフードシステムに対処しなければこれらは実現できない、と述べて、2つの政策課題が切り離せないものであることを示しています。
結論としては3つあり、第一に、全ての国が「1.5+」アジェンダ(注)達成を優先することが必要です。第二に、政策立案者は国家のフードシステム変革の道筋を、より広範な1.5+アジェンダと整合させる必要があります。第三に、この連携した課題は、経済成長、公平性、健康上の効果、環境の持続可能性、安定性の向上など、世界規模だけでなく国レベルでも、より幅広い恩恵をもたらす可能性を秘めています。


このブリーフは主に低中所得国 の政策立案者を支援することを目的としたものですが、高所得国や、民間部門を含む国際政策プロセスに関与する利害関係者にとっても重要な示唆に富んだものになっています。 最近の政策の動きを考察したところ、いくつかの歓迎すべき措置が認められているものの、ほとんどの国が必要とされる水準には遠く及ばないことも指摘されています。


両方の政策課題に同時に取り組む必要があり、一方が成功しなければ他方も達成できません。ドバイで間もなく開催されるCOP28会議は、国のフードシステム変革の道筋をより広範な「1.5+」のアジェンダと整合させる重要な機会となるでしょう。

 


(注)1.5+アジェンダ:フードシステム変革には、地球の気温上昇を1.5度以内に抑えるために重要な役割を果たすことに加え(+)、プラネタリーバウンダリーの8項目で範囲内に収まることが求められます。その8つとは生物多様性の損失、土地利用の変化、淡水の利用、海洋酸性化、成層圏のオゾン、地球規模のリンと窒素の循環、化学汚染、大気中のエアロゾル負荷です。

 

 

参考文献
Global Panel (2023). Food systems and planetary goals: two inseparable policy agendas. Policy Brief No. 17. London, UK: Global Panel on Agriculture and Food Systems for Nutrition. https://www.glopan.org/planetarygoals/      Accessed on August 14, 2023.

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)
 

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