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406. 食料主権とは

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406. 食料主権とは

フードシステム変革が叫ばれる昨今ですが、その議論の中で耳にする言葉に、「食料主権(food sovereignty)」があります。食料主権とは一体何でしょうか。

「食料主権」が最初に国際舞台に登場したのは1996年で、1990年代から2000年代にかけて、食料主権運動(food sovereignty movement)が発展しました。そして2007年、マリのニエレニ(Nyéléni)で食糧主権国際フォーラムが開かれ、そのニエレニ宣言で、食料主権は「生態学的に健全で持続可能な方法で生産された、健康的で文化的に適切な食料に対する人々の権利、そして自らの食料と農業システムを定義する権利」と定義されています。

食料主権は、フードシステムをコントロールする権利を持つのは企業や市場ではなく、生産者・流通業者・消費者だということを強調する政治活動です。農業がより産業的になり、グローバルフードシステムにおいて大企業が支配力を強め、輸入品や加工食品に偏った食事になってきたことに対する反動として成長してきました。 食料主権運動の中心的な存在である、国際的な農民組織ビア・カンペシーナ(La Via Campesina)は、今ではさまざまな背景を持つ81か国2億人のメンバーを抱く規模にまで成長しました。

食料主権は、食料安全保障(food security)としばしば対比されます。最初はかなり違う性質のものではありましたが、互いの定義が変化してくるにつれ、相反しない概念になってきました。とは言っても違う部分はあり、食料安全保障は飢餓や栄養不良を理解するための説明的な概念やツールであり、食料主権は政治戦略が付随する点が異なるとも言われています。

 

参考文献

Carlile, R., Kessler, M., & Garnett, T. (2021). What is food sovereignty? TABLE Explainer Series. TABLE, University of Oxford, Swedish University of Agricultural Sciences and Wageningen University & Research.  https://tabledebates.org/building-blocks/food-sovereignty Accessed on Oct 20, 2021.

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)