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APAARIの2017-2022年戦略計画

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アジア太平洋農業研究機関協議会(APAARI)は、アジア太平洋地域における農業生産の持続性の実現、飢餓・貧困の撲滅、環境保全に向けての研究開発を目的として、アジア・太平洋地域の農業研究機関等が参画し、1990年に設立されました。JIRCASはAPAARIのメンバーとして、設立当初から活動に参加しています。APAARIは、国連のSustainable Development Goals(SDG;持続的開発目標)に対応して、2015年に「APAARI Vision 2030」を策定し、これを実現するため、「APAARI Strategic Plan 2017-2022(APAARI戦略計画2017-2022年)」を策定し、2016年11月に発表しました。

「APAARI Strategic Plan 2017-2022」はAPAARIのHPに掲載されています(http://www.apaari.org/news/apaari-strategic-plan-2017-2022-2.html)。以下に、その概要を示します。

アジア太平洋地域は、近年の急速な経済成長により、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals; MGDs)を達成しましたが、購買力増加による食料供給増加、収入の不均衡、持続性への脅威をもたらしました。貧困層は小規模生産者に残っており、低い生産性や市場へのアクセス困難が課題とされています。さらに、ジェンダーや若年層の不平等の課題もあります。APAARIは、これらの課題を解決するキーとして、Agri-food system(AFS;農業・食料システム)に注目し、持続的開発目標(SDG)の達成に寄与するための戦略計画を立てました。

APAARI Strategic Plan 2017-2022は4つの主要テーマを設定しています。

  1. Agri-food systemの持続性のための自然資源の利用・管理・流通
    土地・水資源、森林・アグロフォーレストリー・木材、農業生物多様性の効率的な管理・利用、バイオテクノロジー及び規制システムの促進、バイオエネルギーやバイオマス等の持続的活用
  2. Agri-food systemにおけるリスクと不確定の管理
    市場・価格変動リスク管理のための政策、気候変動・海面上昇・自然災害・人的災害による不確定への対応、越境病害虫やバイオセキュリティへの共同対応
  3. 小規模農家の利益のためのバリューチェーンの開発・統合
    市場統合など他のバリューチェーンとの統合への小規模生産者・農村集団・女性の参加、ポストハーベストロスや廃棄を最小にする革新的施行、農村における雇用促進のための加工・サービスへの小規模農家の組み込み
  4. Agri-food systemの開発・普及を支援する調節フレームワークと政策の解析・強化・形成
    農業発展のための政策・戦略の開発・実施を支援する政策・社会経済・市場についての研究、smallholder生産者や土地無し農民への土地・水資源の提供のための政策・戦略

APAARI Strategic Plan 2017-2022では7つのキー戦略を設定しています。

  1. 知識管理(Knowledge management)
    持続的農業開発への効果的寄与のための知識強化をもたらす農業・食料システム、効率的な知識管理による農業・食料研究革新システム(Agri-food research and innovation systems)
  2. パートナーシップとネットワーク
    革新的・戦略的パートナーシップとネットワークの強化
  3. 人材育成
    農業・食料研究革新システム強化による効果的な人材供給のための研究機関調整、研究革新の普及・効率的管理・組織運営のための組織的な人材育成、技術開発協力
  4. 支援活動
    農業・食料システムと社会経済の発展における農業・食料研究革新の役割の理解、農業食料システム発展のための農業・食料研究革新強化
  5. 女性と若者
    農業・食料システムにおける生産的でやりがいのある活動への女性と若者の参加、農業・食料システムにおける政策・方針決定への女性と若者の適切な参画
  6. 見通しと先見性
    Vision 2030実現のためのニーズの変化・傾向のモニタリング・評価・活動への反映
  7. APAARI 統治と発展
    アジア太平洋地域における農業・食料研究革新システム強化への効果的・効率的な寄与

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