気候変動に対応した循環型食料生産等の確立のためのプロジェクト(途上国における農産廃棄物の有効活用による気候変動緩和技術の開発)
2019-02-19
資金出資機関:農林水産省
農産廃棄物をエネルギーへ変換する技術は、実用段階に達しているものはわずかですが、「化石燃料の消費に伴う温室効果ガスの削減」、「新たな産業・雇用機会の創出」、「農民等の収入の増加」、「輸入依存度の低下によりエネルギー安全保障の改善」などが期待できることから、将来の発展が望まれています。
本プロジェクトでは、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)と連携し、西アフリカ等の途上国に多く存在する農業廃棄物からの温室効果ガス排出削減のため、農産廃棄物を主とした資源量・コスト評価手法を開発し、農産廃棄物利用技術の導入支援ツールをカスタマイズすると共に、アフリカの2カ国以上で適用可能な農産廃棄物を有効活用した技術モデルを開発します。
関連するシンポジウム、ワークショップ (開催順)
- バイオマスエキスポ2017
- 平成29年6月7日から9日に東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催された、バイオマスエキスポ2017のフォーラム「バイオマス変換技術イノベーション」において、井上泰子研究コーディネーター(研究戦略室)が講師として「グローバルエネルギー動向から見たアジアバイオマスポテンシャル」の演題で発表しました。
- 平成29年6月7日から9日に東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催された、バイオマスエキスポ2017のフォーラム「バイオマス変換技術イノベーション」において、井上泰子研究コーディネーター(研究戦略室)が講師として「グローバルエネルギー動向から見たアジアバイオマスポテンシャル」の演題で発表しました。
- グローバル・バイオエネルギー・パートナーシップ 第5回バイオエネルギー週間
- 平成29年6月21日から23日にガーナの首都アクラ市で開催された、「グローバル・バイオエネルギー・パートナーシップ 第5回バイオエネルギー週間」において、井上泰子研究コーディネーター(研究戦略室)が資源評価・オプション及び戦略セッションでモデレーターを務め基調発表を行いました。
- 平成29年6月21日から23日にガーナの首都アクラ市で開催された、「グローバル・バイオエネルギー・パートナーシップ 第5回バイオエネルギー週間」において、井上泰子研究コーディネーター(研究戦略室)が資源評価・オプション及び戦略セッションでモデレーターを務め基調発表を行いました。
- 気候変動枠組条約第23回締約国会合(COP23)サイドイベント
- 平成29年11月6日から18日にかけてドイツで開催されていたCOP23のサイドイベントとして、JIRCASはIRENAと共に「農産廃棄物の有効活用による再生可能エネルギーによる森林保全とREDD+のための解決策(UNFCCC - COP23 Side Event: Effective Use of Agro-Residues - Renewable Energy Solutions for Forest Conservation and REDD+)」を主催しました。FAO気候変動局土地・水課長からの開会の辞に続き、井上泰子研究コーディネーター(研究戦略室)はJIRCASの農産廃棄物を活用したバイオエネルギー開発の研究成果について発表した他、モザンビーク、トーゴ、ガーナ、インドネシアからの発表がありました。各登壇者の発表資料は以下のとおりです。
- 開会の辞
- バイオエネルギーの持続性の重要性と再生可能エネルギーによる解決策
Mr. Eduardo Mansur FAO気候変動局土地・水課長
- バイオエネルギーの持続性の重要性と再生可能エネルギーによる解決策
- 発表1
- モザンビークにおける再生可能エネルギーの果たしうる役割のポテンシャルについてのGIS分析
Mr. Joaquim Macuacua モザンビーク土地・環境・農村開発省森林局マッピング及びデータベース課長/アムステルダム大学院生
- モザンビークにおける再生可能エネルギーの果たしうる役割のポテンシャルについてのGIS分析
- 発表2.
- トーゴにおけるREDD+準備及び森林再生プロジェクト
Mr. SAMAROU Moussa トーゴ環境森林資源省森林資源局森林認証及びモニタリング課長兼データマネージメントユニット長
- トーゴにおけるREDD+準備及び森林再生プロジェクト
- 発表3.
- ガーナにおける様々なバイオガス・改良かまどの普及の取り組み
Mr. Lovans Owusu-Takyi Institute for Sustainable Energy and Environmental Solutions (ISEES) 所長
- ガーナにおける様々なバイオガス・改良かまどの普及の取り組み
- 発表4.
- 全ての人々のための情報プラットフォーム;モザンビーク北部におけるコミュニティベースのジャトロファエネルギープロジェクトと電子マネーシステム
合田真 日本植物燃料株式会社代表取締役
- 全ての人々のための情報プラットフォーム;モザンビーク北部におけるコミュニティベースのジャトロファエネルギープロジェクトと電子マネーシステム
- 発表 5.
- 持続可能なバイオエネルギーのための持続的マングローブ森林経営
Mr. Fairus Mulia, IPM. インドネシア森林開発コンセッション協会理事/マングローブ研究開発機関シニアアドバイザー
- 持続可能なバイオエネルギーのための持続的マングローブ森林経営
- 発表 6.
- 農産・加工残渣・廃棄物からのエネルギー開発のためのR&D
井上泰子 JIRCAS研究コーディネーター及びIRENAバイオエネルギー分析官
- 農産・加工残渣・廃棄物からのエネルギー開発のためのR&D
- 国際ワークショップ「アフリカにおける持続可能な農村バイオエネルギー解決策」
- 2018年1月19日、JIRCASは世界アグロフォレストリーセンター(ICRAF)、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)と共催で、ケニア・ナイロビ(ICRAF)にて、国際ワークショップ「アフリカにおける持続可能な農村バイオエネルギー解決策」を開催しました。本イベントには、アフリカ内外から国際機関、政府機関、研究機関、民間事業体、NGOなど100名余りが参加し、持続可能かつ革新的なバイオエネルギー解決策に関する様々な研究や取組を共有し、それらの普及をいかに図るべきかについて活発な議論が行われました。
- 開催にあたっては、農林水産省、外務省からの支援の他、ドイツ国際協力公社(GIZ)とストックホルム環境研究所(SEI)の協力を得ました。
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当日のプログラムと発表資料を下記にpdfファイルで掲載していますが、本ワークショップの成果を含め集められた情報については、別途、報告書としてとりまとめ、IRENAから公表する予定としています。
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プログラム Agenda 582.62 KB
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発表資料
Session 1. Sustainable Rural Biomass Supply (10 min each)
1-1. Introduction - agroforestry and agroecology for bioenergy (Dr. Miyuki Iiyama, ICRAF) [Moderator role]
1-2. Gender framework for bioenergy in Kenya (Dr. Linda Davis, wPower)
1-3. Agroecology for sustainable development, food and energy security in Uganda (Mr. Ndyabandiho Saul, Center for Energy Governance, Uganda)
1-4. Farmer Field Schools (FFS) for sustainable agroforestry in Kenya and Ethiopia(Mr.Shinji Ogawa, JICA FFS Project)
1-5. Bio-char and food, water and energy NEXUS (Mrs. Veronica AgodoaKitti, ASA Initiative, Ghana)
1-6. Tree breeding for enhanced bio-carbon stock in Kenya (Dr. Muturi, Gabriel M., Mr. Kariuki Jason G., Dr. Omondi, Stephen.F. and Mr. Muchiri, David. K, KEFRI, JICA)
1-7. Firewood from tree pruning on farm and biochar producing cooking systems (Dr. Mary Njenga, ICRAF, Dr. Miyuki Iiyama, ICRAF& JIRCAS, Dr. James Kinyua, University of Nairobi & ICRAF, Dr. Ruth Mendum, Penn State University))
Session 2.1. Biomass to Energy Innovations (10 min each) Part 1
2-1-1. Introduction - bioenergy innovation (Mr. Mbeo Ogeya, Stockholm Environment Institute (SEI)) [Moderator role]
2-1-2. Biomass to energy innovation: Briquette from rice husks and peanuts residues in Tanzania (Mr. Kaya Suleman Kazema, Tromso, Co. Ltd.)
2-1-3. Production of Ethanol from cassava wastes in Nigeria (Dr. James Ogbonna, Nigeria University, Dr. Yoshinori Murata, JIRCAS, Dr. Hide Omae, JIRCAS)
2-1-4. Resource recovery for briquettes and women empowerment in humanitarian conditions in Kenya (Dr. Mary Njenga, ICRAF, Ms. Oana Baloi, UN-Habitat, Dr. Miyuki Iiyama, ICRAF& JIRCAS, Ms. Yuka Terada, UN, Habitat, Dr. Ruth Mendum, Penn State University)
2-1-5. Unlocking Potentials of New Cooking Methods with Bio-Briquettes and Efficiency Stoves for Rural Areas in Madagascar (Mr. Deepak Kumar Mohapatra, TH Köln - University of Applied Science)
2-1-6. Recycled charcoal briquettes in Mozambique -Affordable and quality energy for all- (Ms. Junko Arisaka, Verde Africa Lda.)
Session 2.2. Biomass to Energy Innovations (10 min each) Part 2
2-2-1. Powering Agriculture project in Africa (Ms. Katharina Meder, GIZ) [Moderator role]
2-2-2. Biogas Milk Chilling to Increase Productivity and Incomes of Dairy Farmers through their off-grid, biogas-powered milk chiller (Ms. Dorine Poelhekke, SimGas)
2-2-3. Improving Coffee Production and Quality Using Infrared Technology powered by biogas generated from coffee pulp and coffee husk (Ms. Etsub Assefa, Horn of Africa)
2-2-4. A mobile power plant that uses agricultural waste to fuel (Ms. Maggie Flanagan, Village Industrial Power)
2-2-5. Biomass-Powered Thermal Processing of Bamboo (Mr. Dereje Worku, African Bamboo)
2-2-6. Commercializing Biomass EverGreen Energy Systems for integrated food production with electrical power generation (Dr. Dennis Garrity, ICRAF)
Session 3. Tools for Enhanced Bioenergy Sustainability (10 min each)
3-1. GIS based REnergy demand-supply analysis for REDD+ in Mozambique (Mr. Joaquim Macuacua, Ministry of Environment/ex-IRENA consultant) [Moderator role]
3-2. Challenges to create information hub and village finance in Mozambique (Mr. Atsushi Matsunaga, NBF Co.Ltd.)
3-3. Sustainability Matrix for local investment in green energy for sustainable development of off-grid economic zones in Zimbabwe (Mr. Charles Kanyunga, Harare Institute of Technology, Zimbabwe)
3-4. Bioenergy sustainability assessment tool with GBEP indicators for IRENA Project Navigator (Dr. Takashi Hayashi, PRIMAFF, Dr. Yasuko Inoue, IRENA-JIRCAS)
3-5. Community biogas and clean cooking solutions for food processing in rural Ghana(Mr. Lovans Owus-Takyi. ISEES)
Panel Discussion/Plenary Discussion – to create enabling conditions for scaling-up innovation
Panel 1. IRENA (Mr. Sakari Oksanen, Deputy Director General, Coordinator for Africa) [Moderator role]
Panel 2. Research perspective (Dr. Rocio Diaz-Chavez, Stockholm Environment Institute (SEI))
Panel 3. Government & community perspective (Ms. Jane Ndeti, Kenya Forest Service, Farmers Field School)
Panel 4. NGO perspective (Mrs. Veronica AgodoaKitti, ASA Initiative, Ghana) Panel 5. Business perspective (Mr. Teddy Kinyanjui, Cookswell Jikos, Kenya)
・ 写真は下記の別ページに掲載のものを参照してください。
関連する研究成果 (公表順)
- 平成26年9月1日に、IRENAから仲田俊一、Degar Saygin、Dolf Gielenの3名で執筆した報告書が出版されました。[平成30年2月13日追記]
- Global Bioenergy- Supply and Demand Projections: A working paper for Remap 2030 (グローバル・バイオエネルギーの需給予測:Remap2030のための研究調査報告書)
- この報告書では、全世界を対象に、FAO統計や貿易統計などを用いて、農業・農産加工残渣や持続可能な土地利用を行う前提で、バイオエネルギーの需給予測を行い、とりまとめたものです。この結果、2010年から2030年までに世界のバイオエネルギーの需要は倍増することが分析により予測されました。これは全再生可能エネルギーの6割を占めることを示しています。供給予測については、農業残渣、エネルギー作物、林産物、林業残渣などの数値が試算され、世界的な高い需要を満たすためには、貿易の果たす役割や、薪炭といった伝統的なバイオマス利用からの離脱が必要であり、政策的措置が重要であることが提言されています。
- 平成29年6月7日に、IRENAからJeffery Skeer、仲田俊一、井上泰子の3名で執筆した報告書が出版されました。
- Biofuel Potential in Southeast Asia -Raising Food Yield, Reducing Waste and Utilizing Residues(東南アジアにおけるバイオエネルギー供給ポテンシャル:食料生産性の向上、廃棄物の減少、残渣の活用)
- この報告書では、東南アジアの5か国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムを対象とし、持続可能な開発を前提に、バイオエネルギーとして利用可能なバイオマス資源がどれだけ供給可能か検討するため、各国の各農林水畜産品目について、食料、飼料、肥料などとして必要なバイオマスを除き、生産残さや加工残さ、食品残さがどれだけ見込めるか、FAOの試算に基づく生産性の向上可能性を考慮しつつ試算されています。また、本報告書においては、東南アジアにおける最新のバイオエネルギー生産技術の革新的な取り組みとして、JIRCASの小杉プロジェクトリーダーによるインドネシア、マレーシア、タイにおける研究とその実証の現状についても紹介されています。
- 平成29年11月20日に、IRENAからJeffery Skeer、Rodrigo Leme、井上泰子の3名で執筆した報告書が出版されました。
- Biofuel Potential in Sub Saharan Africa - Raising Food Yield, Reducing Waste and Utilizing Residues(サブサハラアフリカにおけるバイオエネルギー供給ポテンシャル:食料生産性の向上、廃棄物の減少、残渣の活用)
- この報告書では、アフリカの5か国、ガーナ、モザンビーク、ナイジェリア、南アフリカ、ウガンダを対象とした農林水産廃棄物等からのバイオエネルギー供給可能性予測について試算しています。また、サブサハラアフリカにおける最新のバイオ燃料生産技術の研究成果として、仲田元JIRCAS研究コーディネーターによる地理情報システムを活用したガーナにおけるバイオマスエネルギーの持続可能な需給ポテンシャルマップなどについても紹介されています。
- 平成30年11月20日に、IRENAから井上泰子、Joaquim Macuacua、飯山みゆきの3名で編集・著作した報告書が出版されました。
- Sustainable Rural Bioenergy Solutions in Sub-Saharan Africa: A collection of good practices(サブサハラアフリカ農村における持続可能なバイオエネルギー解決策:優良事例集) (https://www.irena.org/publications/2019/Jan/Sustainable-Rural-Bioenergy-Solutions-in-Sub-Saharan-Africa-A-collection-of-good-practices)
- この報告書では、「持続可能な能なバイオマス供給」「バイオマスのエネルギー変換の革新」「バイオエネルギーの持続可能性を高めるツール」の全3章で構成され、サブサハラアフリカ農村におけるエネルギー問題に対処するための、持続的なエネルギーと食糧の安全保障の確保を実現するための、低コストでレジリエンスの高い解決策を集めています。
- JIRCS(元)研究者(安藤象太郎、飯山みゆき、井上泰子、大前英、大矢徹治、小杉昭彦、仲田俊一、村田善則)の研究成果等についても掲載しています。