アジアモンスーン地域の生産力向上と持続性の両立に資する「技術カタログ Ver. 4.0」を公開
―日本発の研究成果と国際共同研究を通じ、食料システムの強靭化に貢献―
令和7年10月1日
国際農研
ポイント
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概要
国際農研は令和7年10月1日、「アジアモンスーン地域の生産力向上と持続性の両立に資する技術カタログ (以下、技術カタログ)」Ver.4.0を公式Webサイトで公開しました。
今回公開したVer.4.0では、新たに4件の技術を追加して収録技術を計44件に拡大するとともに、Ver.3.0に収録済みで研究の進展により適用範囲が拡大した「バイオ炭による炭素貯留の推定手法」など2件の技術をアップデートしました。
これらの技術は、アジアモンスーン地域における強靭で持続可能な農業・食料システムの構築に資するものとして、国内外の研究機関や国際的な協力の場での活用が見込まれます。これにより、日本発の研究や国際共同研究の成果が一層幅広く活用され、特にASEAN各国における食料システムの持続性向上に貢献することが期待されます。初版以降、参画機関が拡大し、Ver. 3.0からは5つの国立研究開発法人、7つの大学が技術情報を提供しています。
さらに「バイオ炭による炭素貯留の推定手法」のように注目度の高い分野については、個別技術の収録にとどまらず、関連技術を含めた技術群としてレポートを作成しています。これらのレポートは、国際農研Webサイトにて「グリーンアジアレポートシリーズ (Green Asia Report Series)」として公表しています。
技術カタログおよびグリーンアジアレポートシリーズは、農林水産省「みどりの食料システム戦略」を踏まえた「グリーンアジアプロジェクト」の一環として、国際農研を中心に作成・公表しています。
本カタログは、国連食料システムコーディネーションハブ、国連食糧農業機関 (FAO)、ASEAN事務局を通じて国際的にも発信され、アジアモンスーン地域を中心に、世界各国の行政官、研究者、普及担当者、農林漁業者、民間セクターなど多様な関係者に広く利用されています。今後も技術情報の提供・共有を進めることで、アジアモンスーン地域の持続的な食料システムの構築に貢献していきます。
関連情報
技術カタログは、農林水産省「みどりの食料システム基盤農業技術のアジアモンスーン地域応用促進事業」(令和4年度~) の交付を受けて、「グリーンアジア」プロジェクトの一環として実施しています。
問い合わせ先など
国際農研 (茨城県つくば市) 理事長 小山修
- 研究推進責任者:
- プログラムディレクター 飯山みゆき
- 研究担当者:
- 社会科学領域長兼プロジェクトリーダー 舟木康郎
社会科学領域 主任研究員 小林慎太郎 - 広報担当者:
- 情報広報室長 大森圭祐
プレス用 e-mail:koho-jircas@ml.affrc.go.jp
【参考資料】
技術カタログVer. 4.0公開URL (令和7年10月1日公開)
日本語:https://www.jircas.go.jp/ja/greenasia/techcatalog
英 語:https://www.jircas.go.jp/en/greenasia/techcatalog
グリーンアジアレポートシリーズ公開URL
日本語:https://www.jircas.go.jp/ja/greenasia/report
英 語:https://www.jircas.go.jp/en/greenasia/report
※いずれも、みどりの食料システム国際情報センターWebサイト内
【今回追加した技術】
頁 | 技術内容 | 機関名 |
21 |
多国間の情報共有に資するツマジロクサヨトウの殺虫剤抵抗性個体群を早期検出するための感受性簡易検定法 |
国際農研 |
23 |
キャッサバモザイク病抵抗性系統育成の効率化とキャッサバの安定生産に貢献するDNAマーカー | 国際農研 |
27 |
サトウキビの安定生産に貢献する深植え栽培技術 | 国際農研 |
44 |
ヒスタミン生成による魚醤の安全性低下と廃棄を防ぐ塩分濃度調整手法 | 国際農研 |
【今回アップデートした技術】
頁 | 技術内容 | 変更点 | 機関名 |
8 |
工業分析に基づくバイオ炭を用いた農地土壌炭素貯留量の簡易で正確な推定手法 | 竹炭に加え黒炭への適用が可能に |
立命館大学 |
37 |
繊維の生産性が高いサトウキビ新品種「DOA Khon Kaen 4 (KK4)」 | タイ国推奨品種に登録され新名称取得 | 国際農研 |