研究成果情報 - マレーシア

国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。

各年度の国際農林水産業研究成果情報

  • バイオエタノール生産を目的としたオイルパーム廃棄木からの樹液搾汁システムの開発(2009)

    オイルパーム廃棄木より効率的に樹液を搾汁するシステムを開発した。本システムは、かつら剥き機(既存機)、シュレッダー(新規開発)、圧搾機(新規開発)により構成され、搾汁率約80%の効率で、1時間に約500 kgのオイルパームトランクを処理することができる。

  • マレー半島マングローブ汽水域における餌料性甲殻類の生態特性(2007)

    半島マレーシア北西部の2ヶ所のマングローブ汽水域において、魚類の餌料として重要な小型甲殻類のアミ類(Mysida)及びアキアミ類(Acetesの生態調査を実施し、種群構成、生物量、時空間分布など汽水生態系の生産構造環境収容量の算出に欠かせない生態特性に係わる基礎知見を得た。

  • アグロフォレストリーにおける換金作物としての薬用植物ノニの有効性(2006)

    フタバガキ科等の実生苗定着促進に有効なアカシアマンギウム保護樹の林冠環境下で栽培できる換金作物を探索した結果、植栽後1年足らずで着果し、しかも年間を通じて果実を収穫できた薬用植物ノニMorinda citrifolia)を見出した。保護樹を間伐し光環境改善を図るほか、水はけの良い立地を植栽地に選ぶことで、より多くのノニの果実が収穫でき、アグロフォレストリー換金作物として利用可能であることが分かった。

  • マレーシア・サバ州におけるアカシアマンギウムの材質(2005)

    マレーシア・サバ州で育林されたアカシアマンギウム木材密度繊維長を調べた結果、成育の良し悪しにかかわらず密度と繊維長は髄から外側に向けて高くまたは長くなり、髄から9cm以上離れた部分で安定することを明らかにした。これらの結果は、直径18cm以上のアカシアマンギウムをより速く、より多く育てることができれば、安定した質の良い木材をより多く得ることができることを示している。

  • アグロフォレストリーにおける上木間伐と土壌環境の変化(2004)

    無降雨期間中の土壌水分減少速度は無間伐林より間伐林で緩やかになった。間伐処理は林床 に植栽された作物等の苗木により良い光環境を提供することは良く知られているが、植栽苗を取りまく 土壌水分環境をも好転させる。上木の間伐はアグロフォレストリーシステムでの作物等の導入にプラス に働くことが判明した。

  • フタバガキ科Shorea 属6樹種の更新は傾斜のある尾根で優れている(2003)

    半島マレイシアのセラヤ(Shorea curitisiiが優占する丘陵フタバガキ林択伐施業地内で、かく乱を一番大きく受ける作業道では、人工植栽したフタバガキ科Shorea 属6樹種の成長は、水平な尾根や斜面中腹に比べ、尾根より少し下の斜面上部で優れている。

  • 適度の被陰は熱帯植物の定着を促し、初期保育作業を軽減させる(2003)

    適度に被陰された森林内では、皆伐地よりも、フタバガキ科樹種を含む多くの植物の活着率、初期成長量が大きくなり、さらに下刈り作業にともなう疲労が軽減し、作業時間も減少する。

  • 熱帯降雨林はゴムプランテーションに比べて優れた水保全機能を持つ(2002)

    半島マレイシア・ブキタレ水文試験地内熱帯降雨林は隣接するゴムプランテーションより土層が厚く、土壌の孔隙率及び透水性が高いため、雨水を一時的に地中に貯留し、洪水流を軽減する機能(水保全機能)に優れている。

  • 広域灌漑地区における雨量計密度の評価(2001)

    少ない雨量観測点から降雨分布特性を推定する方法を用い、熱帯モンスーン地域降雨分布例を示すとともにこれから雨量計密度を評価する方法を開発した。

  • オイルパーム空果房からの高純度セルロースパルプの調製(2001)

    オイルパーム空果房に対して環境負荷の少ない方法でパルプ化・漂白を行ない,既存の工業製品に近い性質を有する高純度セルロースパルプを調製し,熱帯産未利用木質資源からファインケミカルズ原料を製造することができる。

  • 養殖エビで発生しているウイルス病の単クローン抗体を用いる診断(2001)

    養殖エビに深刻な被害を与えているホワイトスポットシンドロームウイルス(WSSV)は、単クローン抗体を用いる血清学的診断法によって検出できる。

  • 環境インパクトの小さい熱帯天然林の伐採技術(2000)

    天然林択伐作業技術として伐倒方向の制御およびタワーヤーダ集材方式を活用することにより、集材作業における環境インパクトを著しく減少できる。

  • 作業道におけるフタバガキ科セラヤの更新技術(1999)

    半島マレイシアにおいて丘陵フタバガキ林の主な伐採対象樹種であるセラヤ天然更新する条件を調査した。その結果、従来のブルドーザを用いた集材方法でも、 地形やセラヤの種特性を考慮することで、持続的な森林経営を行うことが可能となる。

  • マングローブ汽水域における魚介類生産機能の解明(1999)

    マレイシアにて、マングローブ林面積/河川面積の比が大きい水域(マタン:4.7)では漁獲量が多いが、割合の少ない(比:2.1)メルボック水域では魚類多様度が増大した。またマングローブ湿地は栄養塩ケイ藻の貯蔵庫となり、これらは隣接海水中に供給されている。

  • マングローブ林のリター量(1998)

    マングローブ林に落下する葉や枝などのリター量を持続的なマングローブ林が経営されているマレーシアのマタンにおいて測定した。マタンのマングローブ林は植生の違いによって3タイぷに分けられたがリター量もこれに応じて異なっていた。また、潮の満ち引きによって、海に持ち去られるリター量も水位によって異なっていた。

  • マングローブ汽水域における稚幼魚の生産機能の解明(1997)

    マングローブ開発度合の違いに応じた汽水域での魚類生産の差異をインドアイノコイワシ類を例に比較検討した結果、政府の適正な管理下にあり、マングローブの被覆面積の大きいマタンが、マングローブの乱開発が進み消失の激しいメルボックより4~5倍生産性が高いことが示された。

  • チーク材に含まれるカウチュークの耐久性への関与(1997)

    チークの心材部の主として放射柔細胞に含まれるカウチューク(ゴム物質)はチーク材の高い耐久性の発現に関与している。カウチュークは材表面の撥水性向上だけでなく、キノン類を中心とした心材成分との相乗効果によりチーク材の耐久性を高めていると考えられる。

  • マレイシアにおけるハイブリッド稲の開発とその利用(1997)

    マレイシアハイブリッド稲を利用する上で問題とされてきた、採種に使う細胞質雄性不稔の稔性の転換の問題を解決した。また、高い収量性を示すハイブリッド稲組合わせを見つけ出した。

  • 水系レベル水資源管理状況把握のための既存潅漑管理データの有効利用法(1997)

    開発途上国の大規模潅漑プロジェクトにおいて、ルーチンに観測されながら活用されていない既存の潅漑管理データを有効利用し、水系レベル水資源管理状況を把握するための基礎データに加工する簡便法を開発した。

  • マレイシア・ムダ地区における2,4-D抵抗性型ヒデリコの分布と除草剤に対する反応(1996)

    マレイシアのムダ地区で発見された2,4-D抵抗性型ヒデリコは、感受性型に比べて29倍の抵抗性を示すが、使用する除草剤を変えることによって容易に防除でき、短期間で抵抗性型の発生率を低下させることが可能である。