研究成果情報 - マレーシア

国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。

各年度の国際農林水産業研究成果情報

  • マレイシアにおけるハイブリッド稲の開発とその利用(1997)

    マレイシアハイブリッド稲を利用する上で問題とされてきた、採種に使う細胞質雄性不稔の稔性の転換の問題を解決した。また、高い収量性を示すハイブリッド稲組合わせを見つけ出した。

  • 水系レベル水資源管理状況把握のための既存潅漑管理データの有効利用法(1997)

    開発途上国の大規模潅漑プロジェクトにおいて、ルーチンに観測されながら活用されていない既存の潅漑管理データを有効利用し、水系レベル水資源管理状況を把握するための基礎データに加工する簡便法を開発した。

  • マレイシア・ムダ地区における2,4-D抵抗性型ヒデリコの分布と除草剤に対する反応(1996)

    マレイシアのムダ地区で発見された2,4-D抵抗性型ヒデリコは、感受性型に比べて29倍の抵抗性を示すが、使用する除草剤を変えることによって容易に防除でき、短期間で抵抗性型の発生率を低下させることが可能である。

  • マレイシア・ムダ稲作地帯におけるグループ・ファーミングの運営の利点と問題点(1996)

    ムダ稲作地帯グループ・ファーミングは、初期における信用の供与や技術情報の提供等行政主導の組織化が収益の高い経営を作り出す上で有効な手段たりうることを示している。しかし一方で、上からの組織運営に関する不安や自助努力の欠如など持続的発展の上で解決すべき問題も明らかとなった。

  • アカシアマンギウムにおける多湿心材の発見と形成要因(1996)

    代表的な熱帯早成樹種の1つであるアカシアマンギウムは東南アジアに広範囲に造林されている。しかし多くの個体に多湿心材(Wetwood)の存在が認められ、今後、木材利用上で問題が生ずることが予想される。熱帯早成樹種における多湿心材の存在は初めての報告例であるとともに、従来の温帯産樹種での多湿心材形成要因説のどれにも該当しないことから、別の形成要因があると考えられた。

  • 熱帯における水田からのメタン発生制御技術の開発(1995)

    熱帯地域での水田からのメタン発生制御技術を検討した結果、圃場残存有機物の酸化的分解の促進や、有機物肥料の堆肥化など、易分解性有機物量を減少させる有機物管理技術が効果的であることが示された。

  • マレイシアの直播水稲栽培における雑草イネ(padi angin)の生態と防除(1995)

    1989年以降マレイシア直播水稲栽培で問題になっている雑草イネの発生実態と雑草害を整理し、その形態変異と生態的特性から、耕種的な防除方法を明らかにした。

  • マレイシアにおける反芻家畜用尿素糖蜜ブロックの組成および製造方法(1995)

    マレイシアにおける農業副産物の飼料化の方法の1つとして、反芻家畜用の補助飼料として利用可能な尿素糖蜜ブロック組成および製造方法を開発した。

  • 熱帯におけるアブラヤシ茎葉サイレージの利用(1995)

    パーム油産業副産物であるアブラヤシ茎葉飼料としての価値を明らかにするとともに、それを熱帯の飼料に配合、給与することによって牛肉と牛乳を生産できることを実証した。

  • 熱帯林伐採後の森林劣化要因の解明(1995)

    東南アジア熱帯降雨林は択伐ー天然更新による持続的利用が期待されているが伐採後の有用雅樹成長・増殖が悪い例が多く森林劣化が著しい。伐採後の競合植物による環境劣化、不適な伐採方法土壌撹乱などが雅樹の消失、定着・成長阻害原因であることを解明した。

  • フタバガキ科樹木の環境適応性の解明(1995)

    東南アジア降雨林の優占樹種、フタバガキ幼樹の直達光下での枯損原因は、樹体内の通水機能が低く、蒸散量調節のため日中気孔閉鎖し、光合成能が極端に低下することによることを解明した。

  • 熱帯反すう家畜ルーメン内の繊維分解菌の検索とその特性(1993)

    マレイシアの水牛とケダーケランタン牛のルーメン内より繊維分解菌、ファイブロバクター サクシノジェネスルミノコッカス アルブスルミノコッカス フラヴェファシエンスを分離した。菌の繊維分解能は水牛由来株の方がケダーケランタン牛由来株よりも強力で、高頻度の継代培養で高まり、 菌株の保存は摂氏4度で1カ月可能であった。

  • 新種の実験動物としての世界最小反すう動物マメジカの室内繁殖(1993)

    マメジカ(Lesser mouse deer、Tragulus javanicus)の室内繁殖はこれまで色々な所で試みられてきたが、成功していない。我々は実験動物用小型ケージの使用、取扱い、飼料などを注意することによって訓化・繁殖することに成功した。マメジカの実験動物としての有用性が明らかになった。