研究成果情報 - ガーナ

国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。

各年度の国際農林水産業研究成果情報

  • 貯水灌漑技術と確率計画モデルを用いた小規模農家の所得変動リスク管理手法(2022)

    アフリカの小規模農家の多くは、不安定な天水作物生産に生計を依存しており、所得が変動しやすいが、ため池等を活用した灌漑の導入によって、生産性、収益性の安定化が期待できる。ガーナ北部を対象として構築した、ため池の利用条件、農家の経営条件、各種作物の収量、価格、費用の変動などを反映した確率的営農計画モデルを用いることで、農家が所得変動リスクに対処するための最適な貯水灌漑・作付を計画できる。

  • ため池への流入量を精緻に算出できるカーブナンバー推定モデル(2022)

    ため池からの越流水をかんがいに利用するには、降雨によりため池に流入する水量(流出量)を推計する必要がある。流域性状等から選択されるカーブナンバー(CN)の値に基づいて流出量を推計するカーブナンバー法において、回帰分析を用いてCN値を推定するモデルを適用することにより、流出量の精緻な算出が可能になる。

  • 非湛水管理による水稲栽培が群落内気温の日変化と収量に及ぼす影響(2020)

    熱帯の灌漑水田において、非湛水管理による水稲栽培が開花時刻(午前)の群落内気温と高温不稔に及ぼす影響は小さい。しかし、乾季の出穂期間中に非湛水管理を行うと、午後から夜間の群落内気温が上昇し、収量が低下する。

  • ガーナの河川氾濫原が畔のない天水条件でも生産性の高い稲作適地となる(2017)

    ガーナで未利用の河川氾濫原は、畦畔および灌漑設備のない天水条件においても、土壌炭素量の高い土地の選定と、欠乏する硫黄成分の施用を組み合わせることで、施肥窒素の利用効率に優れ、最大5.4 t ha-1の籾収量を実現する優良な稲作可耕地となる。

  • ガーナの農家が自ら実践できる自生植物の被覆による水田水利施設の補強技術(2017)

    水稲栽培の機運が高まっているガーナ内陸低湿地を対象に、コメの増収かつ安定生産の要となる用排水路や畦畔の地表面を自生植物で被覆する。これは、農家の技術水準および経済状況を考慮した施工工法で、持続的な維持管理が可能な補強技術である。

  • 氾濫低湿地で高位安定収量を示すイネ品種がある(2015)

    白ボルタ川上流域(ガーナ)の氾濫低湿地における天水直播水稲の収量は、河川からの距離で大きく異なり、かつ年次間変動も大きい。このような環境下でAmankwatia、Bodia、Sakai(いずれもガーナ在来品種)、IRBL9-W[RL] (日本-IRRI共同プロジェクト研究育成系統)は安定して相対的に高収量を示す。

  • アフリカ稲作振興のための土壌肥沃度改善技術マニュアル(2014)

    サブサハラ・アフリカにおけるコメ生産の増大には、土壌肥沃度の改善が重要である。このマニュアルは、この地域の稲作に適用可能な在来資材を用いた土壌肥沃度改善技術を、ガーナの2地域を試験対象地として実証し、取りまとめたものである。

  • アフリカ稲作におけるケイ素欠乏の実態とその要因(2013)

    アフリカの農家圃場ではケイ素欠乏値を示すイネが広範にみられ、土壌のケイ酸供給力不足、不安定な水条件をもつ稲作生態系、および窒素施用量の増加を要因として、ケイ素欠乏のリスクが高まる。

  • ガーナ北部氾濫低湿地での稲作拡大に向けた土壌炭素分布と硫黄欠乏の解明(2012)

    土壌炭素量の空間分布を「水源(河川と湖沼)からの距離」の対数関数として推定するモデル式と欠乏する硫黄成分の施用を組み合わせることにより、窒素供給力の高い地点の選定とイネ生産に対する効率的な窒素利用が可能となり、未利用の氾濫低湿地におけるイネ栽培面積の拡大に貢献できる。

  • アフリカ内陸低湿地における水田整備及び栽培技術のマニュアル(2011)

    食料不足が深刻なアフリカで、圃場湛水のための畦畔を備え、均平•代掻•苗移植等の作業で特徴付けられる「アジア型水田稲作」の有効性を実証し、計画から維持管理、施設の補修までの一連の整備技術及び栽培手法を分かりやすいマニュアルにまとめた。

  • サブサハラアフリカの水田土壌肥沃度向上に資する在来有機物資源(2011)

    サブサハラアフリカの稲作において、在来有機物資源を活用した土壌肥沃度改良技術を提案するため、ガーナ国を対象としてまずこれらの賦存量を明らかにする。ガーナにおける農業活動由来の在来有機資源の賦存量は、植物性・動物性合わせて窒素、リン酸、カリの肥料換算でそれぞれ年間数万トンあると見積もられた。これらの有機物資源のガーナ国内分布は、種類により顕著な地域特性を示した。

  • ガーナの精米業の効率性分析:農家への無利子の融資により籾米を確保する精米業者(2003)

    ガーナの大型精米機を所有する多くの精米業者が、籾米集荷のために無利子で農家へ融資を行い、その結果、融資のない場合に比べて精米機の稼働率(Capacity Utilization)が24%上昇することを経済モデルにより明らかにした。これは農家に資金需要がある限り望ましいことであるが、同時に金融市場の不完全性を意味する。市場の効率性確保のために籾米の貯蔵施設等の整備が望まれる。