研究成果情報 - 中国

国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。

各年度の国際農林水産業研究成果情報

  • 中国太湖地域の農業集水域からの地表水による窒素の流出(2003)

    江蘇省宜興市梅林集水域からの地表水移動にともなう窒素流出量は、域内施肥窒素量の8.5 %にあたる20.3 kg ha-1 y-1 であり、主要作物の施肥時期に増大するが、水稲生育の旺盛な7~9月に減少する。野菜畑・畑地では表面流去窒素量および土壌侵食量が大きい。

  • 水稲の耐倒伏性関連形質のQTL 解析(2003)

    インディカ・ジャポニカ交配後代の半数体倍加(DH)系統押し倒し抵抗値、地上部形態形質、根系形態形質など耐倒伏性に関係する形質の量的形質遺伝子座(QTL)はそれぞれ複数の染色体上に散在し、押し倒し抵抗値ではQTLは第7,8染色体上に存在する。

  • 中国における発酵型ビーフンの物理化学特性(2003)

    原料インディカ米を乳酸発酵させると、調製されたビーフンの破断強度が減少し、破断変位が増加する。発酵過程において原料米の澱粉含量に顕著な変化は認められないが、タンパク質・脂質・灰分が減少する。また、発酵によって澱粉の糊化温度が低下し、ラピッドビスコアナライザーによる粘弾特性も変化する。

  • 中国山東省における水資源変化が食糧需給へ及ぼす影響(2002)

    中国山東省では水資源の変動穀物生産変動の大きな要因となっており、地域の食糧需給への影響が大きい。水供給量の制約が将来の食糧需給に大きな供給制約を生じさせる可能性を示している。

  • 中国紅壌丘陵地帯水稲二期作地域におけるアンモニア揮散とその制御(2002)

    中国湖南省祁陽県においては、水田からのアンモニア揮散ポテンシャルが極めて高い。肥効調節型肥料の適切な利用により、アンモニア揮散による肥料成分の損失と環境負荷を大幅に軽減し、収量の維持向上と減肥の両立が可能となる。

  • 電解水を用いた豆腐原料大豆の微生物制御技術(2001)

    大豆浸漬水として酸性電解水、又は、混合電解水を用いることにより、豆乳や豆腐の品質を損なうことなく、大豆由来の微生物を効果的に殺菌することが可能となる。

  • 中国における高品質ビーフンの加工法(2001)

    異なるアミロース含量のジャポニカ・インディカ米の中で、アミロース含量20%以上のインディカ米を用いたビーフンの食味評価が高い。また、原料米を2時間浸漬後に水挽きすると湯溶けが少なく食感が向上する。河粉の食感向上のためには、原料の10%を予備糊化させ、残りの米粉スラリーと均一に混ぜた後蒸煮するとよい。

  • 中国産淡水魚類筋肉の鮮度変化の特徴(2001)

    中国において養殖生産量の多いハクレンおよび草魚は、官能検査による品質評価ならびにK-値の変化の特性から判断すると、即殺後の適切な温度管理により、鮮魚として3日間の流通が可能である。

  • WTO加盟の中国農業への影響(2000)

    中国WTO加盟によって、小麦、トウモロコシ、大豆等の輸入が増大することが予想されるが、米の輸入は増えない可能性が強い。WTO加盟後は、安価な農産物の輸入が増えることに加え、価格支持政策の実施が制限されるので、穀物国内価格は上がりにくくなる。

  • 日本在来小麦と中国育成小麦の赤かび病抵抗性遺伝子の比較と集積(2000)

    小麦赤かび病抵抗性品種の延岡坊主小麦(日本在来)と蘇麦3号(中国育成)との雑種F1に由来する半数体倍加系統を用い、関与する抵抗性遺伝子の数が推定され、両品種のもつ抵抗性遺伝子を集積した系統が作出できる。

  • セジロウンカに対する中国ジャポニカ水稲‘春江-06’の品種抵抗性(2000)

    中国ジャポニカ水稲‘春江-06’の高度なセジロウンカ抵抗性は、優性の吸汁抑制形質と、劣性の殺卵誘導形質の複合作用によって発現し、両抵抗性形質は、それぞれ中間母本‘秀水04’および‘祥湖24’、‘C81-40’に由来する。

  • 中国山東省陵県における地下水水質と農耕地の窒素循環(1999)

    中国黄淮海平原の典型的な農業地域である山東省陵県においては、地下水の硝酸汚染の広域化は現時点では認められないが、農耕地土壌と環境への多量の窒素負荷があり、近い将来における環境悪化が予想される。

  • 乾燥地で作物生育を促進する溝底播種(1998)

    土壌面の溝底では、土壌水分の減少塩類集積が遅れ、地温の日変化が抑制される。そのため、乾燥地で深さ5cm程の溝底に播種すると、作物の発芽・生育が促進される。

  • 中国産淡水魚を用いた冷凍すり身の開発(1998)

    中国産淡水魚すり身を開発するため、魚肉タンパク質ゲル形成性を調べた。魚種によってゲル形成性は異なるが、適切な加熱条件を選択することによって、主要魚種であるハクレンコクレン草魚は冷凍すり身原料として利用できることを明らかにした。

  • 中国雲南省における水稲新品種「合系34号」及び「合系35号」(1996)

    中国雲南省の標高1800~2000m地帯に適する多収良質水稲新品種「合系34号」及び「合系35号」を育成した。

  • 中国上海地域に適するキュウリ、イチゴの耐病性優良新品種(1996)

    日本及び中国の遺伝資源を素材として、早生多収高品質耐病性に優れ、上海地域に適するキュウリ新品種「滬(ふ)116号」と「滬119号」及びイチゴ新品種「申旭1号」と「申旭2号」を育成した。

  • 乾燥地における複数列の混交防風林帯による微気象改良と作物(1995)

    中国トルファン地域の夏季の高温・乾燥・強風条件下において、防風林複数列にすることで、微気象を改良し、気候緩和する効果が加算されることを明らかにした。

  • 過放牧が引き起こす砂漠化の微気象学的メカニズム(1995)

    中国内モンゴル東部の半乾燥気候の草原で、ヒツジの放牧頭数を変えた放牧試験を行い、放牧強度の差異による草原の砂漠化過程を微気象の変化から調べた。過放牧により、草原植生量が減少するだけでなくヒツジの歩行数が増え、土壌が硬化した。硬い土壌は降雨の地下浸透を妨げ表面蒸発量を増大させ、植生の再生伸長を妨げた。

  • 中国雲南省における水稲新品種 滇(てん)粳34~37号(1993)

    中国雲南省の標高 1,500~2,100m地帯に適応する耐冷性いもち病抵抗性収量性に優れた4つの水稲品種育成した。

  • 中国・亜熱帯地域に適する多収・高品質夏キュウリ品種の育成(1993)

    中国・亜熱帯地域の夏野菜の不足を解消するために、当地域に適する多収高品質キュウリ品種の育種を行い、既存の「夏青2号」よりも耐暑性・耐病性に優れ多収で品質の良い「雑交1号」、「雑交2号」及び「雑交3号」の3つの優良F1系統を育成した。