アジアモンスーンモデル植物工場システムの社会実装に着手
― 植物工場システム(PFS)を国内外へ展開するためのワーキンググループを形成―

お知らせ

令和4年1月14日
国際農
アジアモンスーンPFS社会実装WG

 

アジアモンスーンモデル植物工場システムの社会実装に着手
― 植物工場システム(PFS)を国内外へ展開するためのワーキンググループを形成―

 

ポイント

  • 高温多湿地域向けアジアモンスーンモデル植物工場システムの社会実装に向けた活動成果報告会を12月9日に開催
  • 植物工場システムの社会実装ワーキンググループを民間企業との連携により形成
  • 2022年1月にスタートアップを設立し、東南アジア等へのアジアモンスーンモデル植物工場システムの推進を支援

概要

 2021年12月9日、国際農研は、熱帯・島嶼研究拠点(沖縄県石垣市)において、アジアモンスーンモデル植物工場システム1) の社会実装に向けた活動成果報告会を開催しました。報告会の目的は、「『知』の集積と活用の場による研究開発モデル事業」の研究課題「農林水産・食品産業の情報化と生産システムの革新を推進するアジアモンスーンモデル植物工場システムの開発2)」(2016年度~2020年度、図1及び写真1)の活動報告と、国内外にアジアモンスーンモデル植物工場システムの展開を図るための具体的な道筋を検討することです。

 報告会では、植物工場システムの導入に関心のある、インド大使館、インドネシア大使館、アラブ首長国連邦大使館関係者等の参加があり、高温多湿環境向けアジアモンスーンモデル植物工場システムの環境制御システムやトマトとイチゴの栽培状況を見学しました(写真2)。また、「『知』の集積と活用の場による研究開発モデル事業」で得られた成果をさらに発展させるべく「イノベーション創出強化研究推進事業」において開始された研究課題「アジアモンスーン地域でのイチゴ栽培技術の確立3)」(2021年度~2023年度)の概要を紹介しました(図2)。

 農林水産省が推進する事業成果である植物工場システムを国内外へ展開するため、アジアモンスーンPFS(Plant Factory System)社会実装ワーキンググループ4)を2021年7月に形成し、植物工場の生産システム、栽培技術、収益モデル等の観点から、国内外への展開に向けた検討活動を進めています(図3)。また、アジアモンスーンモデル植物工場システムの国内外への展開を具体化するため、2022年1月に同ワーキンググループの有志による新たなスタートアップが設立される予定です。

 アジアモンスーンモデル植物工場システムは、温暖化が進む日本国内の他、東南アジアを始めとした国外の高温多湿地域において社会実装されることで、高品質な野菜の安定生産を実現することが期待されることから、在京大使館も高い関心を持っています。 

 今後、熱帯・島嶼研究拠点では、スタートアップを研究面で支援するとともに、国内外のアジアモンスーンモデル植物工場システムの推進を担うコーディネーターとして、東南アジア等の農業生産者の収益力向上やSDGsへの貢献に取り組んでまいります。

問い合わせ先

国際農研(茨城県つくば市) 理事長 小山 修
アジアモンスーンPFS社会実装ワーキンググループ代表:
      国際農研 熱帯・島嶼研究拠点 所長 大前 英
      Email:pro-nekken@ml.affrc.go.jp
広報担当者:国際農研 情報広報室長 大森 圭祐    
      プレス用 e-mail:koho-jircas@ml.affrc.go.jp

本資料は、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブ、筑波研究学園都市記者会に配付しています。

※国際農研(こくさいのうけん)は、国立研究開発法人 国際農林水産業研究センターのコミュニケーションネームです。
新聞、TV等の報道でも当センターの名称としては「国際農研」のご使用をお願い申し上げます。

用語の解説

1) アジアモンスーンモデル植物工場システム

高温多湿な環境に対応した太陽光型植物工場システムです。ハウス内外の環境を各種センサーでモニタリングし、換気扇や遮熱カーテン、細霧冷房、ヒートポンプ、CO2発生装置といった環境制御装置をプログラムで管理する統合環境制御システムを備えた特徴があります。

2) 農林水産・食品産業の情報化と生産システムの革新を推進するアジアモンスーンモデル植物工場システムの開発

農林水産省が推進する産学官連携研究の仕組みである、農研機構生物系特定産業技術研究支援センターの「『知』の集積と活用の場による研究開発モデル事業」の研究課題であり、三菱ケミカル株式会社を代表機関として、2016年度から2021年3月末までの5年間実施されました。

3) アジアモンスーン地域でのイチゴ栽培技術の確立

農研機構生物系特定産業技術研究支援センター「イノベーション創出強化研究推進事業」開発研究ステージ(開発技術海外展開型)の研究課題であり、株式会社ソーラーフィールズを代表機関として、2021年度からの3年間で実施されます。熱帯・島嶼研究拠点の植物工場を活用して、東南アジア等の熱帯・亜熱帯地域でも需要の高い日本品質のイチゴを、現地において生産可能な栽培システムを開発します。同事業は、代表機関に加え、農研機構及び国際農研で構成される「アジアモンスーンICHIGOコンソーシアム」を形成し活動します。

4) アジアモンスーンPFS社会実装ワーキンググループ

熱帯・島嶼研究拠点を代表に、三菱ケミカル株式会社、パナソニック株式会社、株式会社ソーラーフィールズ、シチズン電子株式会社、農研機構が参画機関となっています。「『知』の集積と活用の場による研究開発モデル事業」で得られた高温多湿環境向け太陽光植物工場における栽培技術開発等の主要成果を1つのシステムとして捉え、社会実装するための生産システムの基本仕様設計を行うとともに、様々な設置環境に応じた最適システム構成モデルと収益モデルの構築、国外も含めた栽培技術指導とその定着・普及を容易とするマニュアル作成・整備及び統合環境制御プログラムを構築します。

【参考資料】

図1:アジアモンスーンPFSコンソーシアム概念図

図1:アジアモンスーンPFSコンソーシアム概念図

写真1:アジアモンスーンモデル植物工場(石垣市)

写真1:アジアモンスーンモデル植物工場(石垣市)

写真2:活動成果報告会(2021年12月9日、石垣市)

写真2:活動成果報告会(2021年12月9日、石垣市)

図2:アジアモンスーンICHIGOコンソーシアム概念図

図2:アジアモンスーンICHIGOコンソーシアム概念図

図3:アジアモンスーンPFS社会実証の概念図

図3:アジアモンスーンPFS社会実証の概念図

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